踏み出した先にあるもの/「てんてんしましまを探して」第7回・東京/二子玉川「cucirina!(クチリーナ!)」オーナー・中村彩子さん、辻杏子さん

「てんてんしましまを探して」 / ショップさん / ブランド

「てんてんしましまを探して」は、毎週木曜正午更新
てんてん(水玉)しましま(ボーダー&ストライプ)のかわいいアイテム、そこに携わる人々の思いをバッグブランドSaori Mochizukiのデザイナー・望月沙織がつづります。

企画詳細についてはこちらをご覧ください。

「てんてんしましまを探して」第7回
二子玉川・cucirina!(クチリーナ)/オーナー:中村彩子さん・辻杏子さん

二子玉川クチリーナ!さん

左:(妹)辻さん、右:(姉)中村さん

大先輩として、存在しているのは存じ上げていたけれど、なかなか交わる機会がなかった人たち。それが雑貨店cucirina!(クチリーナ)のオーナー・中村彩子さんと辻杏子さん姉妹だ。

cucirina!さんはオリジナルのハンドメイド雑貨も販売されていて、わたくしはどちらかというと最初はその存在を通してcucirina!さんを知りました(この「てんてんしましまを探して」でも度々名前の出てくるアリヴェデパールや+flowerで商品はよくお見かけしていました)。しかもお店の場所が、二子玉川。

でも駅を挟んでうちのアトリエとはちょうど正反対に位置しているということもあり、なかなかお店に伺うチャンスがなかったのですが(単にわたくしの腰が重かったということもある…)、昨年末、うちのアトリエで忘年会をした時にやっと中村さんにお会いする機会に恵まれ、以来、税理士さんをご紹介いただいたり、一方的に色々お世話になっております。

今回はそんなcucirina!さんに、「どうしたら息長く活動して行けるんでしょうか?」「姉妹でやっていくのって、大変じゃないですか?!」なんてことを率直に伺ってみました。

二子玉川クチリーナ!さん

店内の奥にはミシン作業ができるアトリエスペースがあります。

そもそもお2人でこのお仕事を始めたきっかけは何だったんですか?

中村さん(以下<中>)
12年前、私が1人目を産んだ時、独学で「初めてのホームページ」という本を片手にネットショップを立ち上げたのがきっかけです。妹(辻さん)が自分用のポーチなどを作っていたので、そういったものを売ってみたら(辻さん曰く、「ネットショップ用になんかよこせ!って言われた」…笑)結構注文が入ったんです。

その後、イベント販売を通じて知り合った方に委託販売という方法があるということを教えてもらって、他のお店でも販売してもらうようになりました。

ではそこから実店舗を持とうと思ったのはのはなぜだったのでしょう?

<中>
学生時代にフリマを2人でやったりしてたので、その時のイメージがあり、調子に乗って(笑)2005年に実店舗を構えました。

辻さん(以下<辻>)
若かったんですよ(笑)。

なるほど。でも勢いって、大切ですよね。そこから、この場所(二子玉川の駅から少し行った昔ながらの小さな商店街の中)に決めたのには何か訳があったのですか?

二子玉川・クチリーナ!さん

玉川タカシマヤの裏手に広がる、風情のある商店街。右手前がcucirina!さんの店頭

<中>
最初は、父が目黒出身だったので、東横線沿線の学芸大学のあたりがいいな、と思ってました。でも妹が家を探していたので、1Fがお店でその上がおうちになる一軒家もいいよね、と話していたら、不動産屋さんがもともとお肉屋さんだったここを見つけてきてくれたんです。

もうちょっと住宅街で、とも思ったのですが、母から「女の子だけでやっていて、もし何かあった時にどうするのよ?!」と言われて、確かにな、と思って(緊急時にはお向いのお店に声がかけられる)ここを選びました。

へー!ではこのお店の上は、辻さん家族の居住スペースだったんですね!それって、憧れる人、結構いるんじゃないかな。

でもそうすると、家族の存在が近すぎて、やりにくくはないですか?特に姉妹でやることの難しさってありませんか?わたくしも2人姉妹で妹がいますが、多分うちは無理だと思うんです(実際にうちの妹はわたくしとは全く異なる職業—地元で公務員をやってるし)。

<中>
なんだろう、、、例えば、お互いのライフステージが違ってしまったこと(出産時期など)とか、、、

<辻>
ちがうよー!姉が適当にやりちらかしてたことに対して私が「もーーっ!」ってなったことはありますよ(笑)。

笑。性格がそれぞれ違うんですね。

<中>
そう、むしろ違うからいいのかもしれないです。妹の方が落ち込みやすくて、それを私が大丈夫大丈夫って言ってる感じです。これが2人一緒に落ち込むタイプだったら続かなかったかもしれないです。

とはいえ性格が違うと、意見がぶつかりませんか?役割分担とかはあるのでしょうか?

<中>
ぶつかることはないですね。

<辻>
作るものに関しては、(お取引のある)お店の傾向にあわせてそれぞれが担当しています。

ではきっちりと、それぞれが担当するものをそれぞれが作る感じなんですか?

<中>
そうではなくて、最終的には相談して決めてます。妹が店番と、派手なものが好き。私が週2〜3回店に立ちつつ、ネットや事務作業をやっていて、ベーシックなものが好き、って感じに分かれてはいますが。今だとLINEで相談してます。便利ですよ!

二子玉川クチリーナ!さん

最近流行のビジューネックレスは、かわいいけれど重くない?!ということで、
作家さんにオーダーして作ってもらったアイテム(襟元にピンでとめるネックレス風ブローチ)。
今のトレンドも取り入れつつ、使用感も重視したバランス感覚抜群の逸品。

でもお互いに好きなテイストが違うのに最終的にはうまくまとまるということは、なにかデザインの軸になるものってあるのでしょうか?

<中>
カラフル、でしょうか。色を使わないものはないです。

なぜカラフルが好きなんですか?

<中> なんだろ、、、布が好き、だからかな。

あー!確かに。カラフルでどこかノスタルジックな雰囲気のする生地をみると、cucirina!さんを思い出します。

<中>
実店舗を立ち上げた2005年当時って、雅姫さんのハグオーワーとか、リネン素材のナチュラルな雰囲気のものが全盛だったんです。でもそれで差別化をはかるのは難しいと思ったっていうのもあります。

<辻>
あとは、もうちょっと(色のない)コンサバな雰囲気も、なりたかったけど、童顔の私たちには似合わなかった(笑)。

<中>
ただ不思議なんですけど、自分が作ったものすごくカラフルなものを、必ず自分で持つかというと、そうでもない。もちろんとってもかわいいと思って作っているんです。だけど、自分が持ってどうかというよりも、頭の中に「クチリーナちゃん」みたいなイメージがあって、その子が持つとどうか、っていうことを考えて作っている気がするので、(出来上がったものは)本当の自分の好みからは外れていることもあります。

うわっ。さりげなくすごく大切なポイント、でました!

こういう風に、自分の作っているものを客観視できる視点って、重要です。どんなに自分がかわいいと思っても、お客さんがそれをかわいいと思ってくれなかったら、商品としては成り立たないんです。わたくしはよく、自分が作っているものを過保護にかわいがりすぎてしまって、「お前の良さを世間が理解できないなんて、かーちゃん悲しい!」と、モンスターペアレント化している時があるのでわかります…。

二子玉川クチリーナ!さん
二子玉川クチリーナ!さん

cucirina!さんおススメのしましまグッズ。
少し大きめのポーチは、よく見るとファスナーが便利な両開き!
辻さん曰く「先に材料を買っちゃって、あるもので組み合わせているので、深い意味はないんです…笑」
っておっしゃってましたが、こういう心憎いポイントに、女子は引かれるのであります。

他にも何かコツってありますか?わたくしからしてみると、お店を長く続けられているっていうのは本当に凄いことだと思うのですが。

<辻>
…来年の材料を買っちゃう、ってことですかね(笑)。

<中>
はははは!でもそれって実は結構重要で、作家さんでも、初期投資をしたくない(もしくは怖い)からといって、いつも決まったものしか作らない方っているんです。でもそうすると、「ここをもうちょっとこうしたらよくなるのにな」っていうことに応えられない。その結果、やめていってしまう人は多い気がします。

あとは、(初期投資と同じ意味で)ちょっとずつスタッフさんを増やす、っていうのも重要です。(極限まで自分を追いつめて)パンク!の直前で止めておくことって大切ですし、関わってくれる人が増えれば、その人たちのために頑張る!っていうモチベーションも生まれてきますから。

確かに、怖いし辛いけど、乗り越えた先に見える楽しい世界、っていうのもありますよね。わたくしも、怖いけど新しい世界がみたくて、法人化したり、アシスタントに手伝ってもらったり、その時々で器を広げる決意をしてきました。

<中>
数年前から化粧品とか、安めのストール、文房具など、仕入れ商品も扱うようになりました。でも初めは在庫を持つのが嫌だったので、仕入れも怖かったんですよ。

そうやって、1歩1歩、新しいこととそれに付随する恐怖感と逃げずに丁寧に対峙してきたからこそ、今があるんですね。

次はどんな新しいcucirina!を見せてくれるのでしょうか。楽しみです!

またご近所さんのよしみで、遊んでくださいね。ありがとうございました!

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

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