カテゴリー:「てんてんしましまを探して」

「てんてんしましまを探して」第18回・水玉研究所 レポート 「水玉」という名前の由来を探るvol.4「脱線中・その1」

「てんてんしましまを探して」

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「てんてんしましまを探して」第18回・水玉研究所 レポート
「水玉」という名前の由来を探るvol.4「脱線中・その1」

こんにちは、水玉研究家の望月です。水玉のことについてあれこれ探ることを使命にしている水玉研究所ですが、先週に引続き、今週は(というか、今週からしばらくは)脱線ウィーク。

「水玉」という名前の由来・起源について、過去3回で我が研究所が立てた仮説を実証すべく、一刻も早くまずは東北へ調査に出かけたいのですが、いかんせん時は年末商戦の入口。

水玉研究<売上。とてもじゃないけど東北に行っている暇などない!・・・ということで、諦めずにこつこつと情報は集めつつ、かといって由来についての調査はちっとも進まないので、これに関してはひとまず置いておいて、純粋に水玉についてあれこれ語ることにしようと思います。ちなみに水玉、と一口に言いますが、そして一口(もしくは一目?)に見てますが、その並び方には大きく分けて2つの種類があります。

水玉バッグ 水玉バック 水玉模様の研究

お気づきでしょうか?

この写真にうつっている壁紙(黒地に白の水玉)と、うちのbagに使われているオレンジ×濃紺の水玉のパターンの配置は、よく見てみると異なっています。

これが、壁紙のデザインパターン。

水玉バッグ 水玉バック 水玉模様の研究

対して、こちらがオレンジの生地のデザインパターン。

水玉バッグ 水玉バック 水玉模様の研究

前者が正体で等間隔に並んでいるのに対して、後者は菱形に並んでいます。

そして改めて見てみると、世の中に出回っている水玉には、圧倒的に菱形のパターンが多いことが分かりました。うちのバッグに使われている生地のほぼ100%は、この菱形配置。

うちの商品に限らず、アトリエに溢れている水玉グッズを見比べてみても、正体配置のものを見つけるのが難しいくらい、菱形でした。

水玉バッグ 水玉バック 水玉模様の研究
見えにくいかもしれませんが、黒いマグカップも、ピンクのファイルも、アンペルマンが被っている帽子もマフラーも、みんな菱形配置の水玉です

なるほど、そうでしたか。

うちのアトリエの壁、かなり強烈な水玉なんですが、その前に商品を置いて写真を撮っても不思議とうるさくならず、それなりに商品が引き立って見えていたので、重宝していたのですが、理由はここにあったのですね。

つまり、正体配置の水玉(壁紙)の上に、菱形配置の水玉(商品)を置いていたので、水玉という共通のまとまりは持ちつつも、お互いに同化することがなかったのです。

アトリエの壁に正体配置の水玉を入れたのは、あまり深いことを考えておらず単なる好みで選んだので本当に偶然だったのですが、図らずも良いチョイスをしていたことが分かって嬉しくなりました。

きっと圧倒的に菱形配置が多いのにも訳があるはずなんだと思いますが、それについても今後追っかけていきたいと思います(うう、、また宿題が増えた)。

ちなみに、こんな変わり種水玉もいます。

水玉バッグ 水玉バック 水玉模様の研究

向かって左のbagに使われている生地は、菱形配置水玉の変形バージョン、向かって右のbagに使われている生地は、正体配置水玉の変形バージョンですね。

いずれもまるっとまとめて「水玉」と呼んでますが、つくづく奥が深いです。単純だからこそ、のりしろが沢山あって、色んなアレンジがきくってことなんでしょう。そしてそんな所にわたくしはほれているのであります。

という訳で引続き水玉を追いかけたいと思います。来週も宜しくお願いします。

追伸:アシスタント・イフクの水玉研究所資料箱がどんどん恐ろしげになっていってます。

水玉バッグ 水玉バック 水玉模様の研究

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「てんてんしましまを探して」第17回・水玉研究所 レポート 「水玉」という名前の由来を探るvol.3「水玉とガラスの深い関係」

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「てんてんしましまを探して」第17回・水玉研究所 レポート
「水玉」という名前の由来を探るvol.3「水玉とガラスの深い関係」

こんにちは、水玉研究家の望月です。水玉のことについてあれこれ探ることを使命にしている水玉研究所ですが、今週は調査が遅々として進みませんでした。

心はもはや東北、仙台で伊達政宗の陣羽織について調べたり、白河で阿部家の陣羽織を調べたりしたい所なのですが、日々の業務に追われて、ちょっと足を運ぶタイミングを見出せませんでした。

ただ日々の業務の中にもヒントはありました。

今、生地の撥水加工を加工屋さんとあれこれ試している最中なんですが、その時撥水がきく・きかない、ということを表現するために、「水が玉になる」という言葉を使うんです。

望月「今回は●×加工でサンプルをお願いしたいんですが、この生地に撥水加工は乗りますかね??」

加工屋「大丈夫だと思いますよー。先日もうちで試したら、水がちゃんとコロコロと玉になりましたからー」

最初はわたくしも無意識にやり取りをしていたのですが、途中ではっと気がつきました。

ちなみに「水が玉になる」というのは、撥水加工がちゃんときいている、という意味で使われます。

mizuken1023_1

これは、撥水加工を施したうちのオリジナルプリントの試験反なんですが、表面の水が玉状になっているのがお分かりいただけますでしょうか??

これは撥水加工によって水がはじかれていることによって起こる現象です。もしも撥水加工がきいていないと、水は玉状にはならず、じわじわと生地にしみ込んでいってしまいます。

また、水がどれくらい球体に近い形で生地の上に乗るか、で、撥水加工の技術力はかったりもするそうです(つまり、水滴の形がまんまるであればあるほど撥水力が優秀ということになります)。

ということは、水玉という言葉が生まれた背景には、この、「水が何かの上ではじかれて丸くなった状態」が日常的にあった、ということになります。

現代は、車のフロントガラスや、それこそスマホの画面上など、水がコロコロと玉になって駆け抜けていくシーンを沢山目にする機会がありますが、当時はどうだったのでしょうか。

ちなみにそれで言うと、今、我が研究所が目をつけている安土桃山時代の少し前に、フランシスコ・ザビエル(1506-1552)が日本にガラス製品を持ち込んだと言われています。その前からガラスは日本でも作られていたそうですが、本格的に製品として普及したのはその頃と言われているので、もしかしたらそのガラス製品の普及も、「水玉」という言葉の誕生に絡んでいるのかもしれません。

という訳で、引続き、安土桃山時代並びに南蛮貿易について、突っ込んでいきたいと思ってます。レポートの続きをお楽しみに!

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「てんてんしましまを探して」第16回・水玉研究所 レポート 「水玉」という名前の由来を探るvol.2「結局 目立つ柄だった」

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樺色羅紗地水玉文様陣羽織

 こんにちは、水玉研究家の望月です。水玉のことについてあれこれ探ることを使命にしている水玉研究所ですが、前回の調査で「水玉が水玉と呼ばれるようになった時代を特定する鍵は、安土桃山~江戸時代にあり」という仮説を立てたので、まずは安土桃山時代をひも解いていきたいと思います。
日本の水玉について色々調べてみると、どんなルートからせめても、この時代の陣羽織に行き着きます。

陣羽織は戦国時代に生まれたものだそうで、戦場で武士が鎧の上にコートのように着たものです。・・・ということは、戦国時代よりも前の合戦では、武士は陣羽織は着てなかったの??と、とても気になり、代々の合戦図をたどってみたくなったのですが、それは少々水玉研究所の本筋からはそれてしまうので、しばらく脇に置いておくことにします。

で、閑話休題。

そもそも陣羽織は、武士(特に大将)が戦場で自分の存在をアピールしたり、相手を威嚇するために着ることが主な目的だったので、柄には目立つもの、視認性が良いものが好まれました。

そこから転じて、「陣羽織=派手であるべし」という図式が成立したのか、戦国時代を下って江戸時代に入ってからも、ド派手な陣羽織が作られています。

そのうちの1つが、「樺色羅紗地水玉文様陣羽織」で、これは白河(福島県)藩主、阿部家の藩祖、忠秋(1602~75)が、1633年に行われた徳川家光のとあるイベント(「馬揃え」という、優秀な馬を集めて品評会をする行事だったそうです)の際に着用したものと言い伝えられています。

樺色羅紗地水玉文様陣羽織

 

 

 

 

 

 

 

 

「樺色羅紗地水玉文様陣羽織」白川集古苑 蔵

これはわたくしもびっくりのデザイン。相当人目をひいたことと思います。

このように、水玉は目立つにはうってつけの柄でした。地色と玉の色をはっきりと変えればコントラストを際立たせることができますし、リズミカルに同じパターンを並べれば、柄が目に残りやすく、注意を引きやすくもなります。もちろん、玉のサイズを大きくすればそれだけでも目立ちます。

その辺りが戦国武将には好まれたということでしょうか。

そして水玉は、安土桃山時代の南蛮貿易を通して日本に伝来したという説があります。おそらくそれ以前にも水玉に近い模様はあったと思うのですが、先日も説明した通り、古来日本では丸のことを「星(曜)」と呼んでいた風習があり、その存在をいわゆる「水玉柄」として認識していなかったと思われます。

とはいえ、それがどういう形で海外から伝わってきたのか、というかそもそも本当に海外から伝わってきた結果、「水玉」となったのか、またもし伝わってきたものだとして、どうして「水玉」と呼ばれるに至ったのか、そこはまだはっきりしません。

伊達政宗しかり、阿部家しかり、どうやら東北の方がきな臭いので、まずはそちらへ脚を運んで見たいと思っておりますが、さて時間をひねり出せるでしょうか(いやひねり出すべきなんですがー!)。

という訳で引続き調査を進めたいと思います。レポートの続きをお楽しみにー!

 

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「てんてんしましまを探して」第15回・「水玉研究所」レポート【「水玉」という名前の由来を探るvol.1「鍵を握るのは九曜紋?!」】

「てんてんしましまを探して」

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水玉バッグ 水玉バック 水玉模様の研究


「てんてんしましまを探して」第15回・「水玉研究所」レポート
【「水玉」という名前の由来を探るvol.1「鍵を握るのは九曜紋?!」】


こんにちは、Saori Mochizukiデザイナー/水玉研究家の望月です。水玉のことについてあれこれ探ることを使命にしている水玉研究所ですが、まずは何と言っても「水玉はなんで水玉って呼ばれているの?いつからそう呼ばれているの?」というところから攻めていきたいと思います。

ところで話は変わりますが、みなさん、ご自身のお家の家紋は何か、ご存知ですか??有名なものでは徳川家の葵の御紋がありますが、我が望月家の家紋は、「九曜(くよう)の紋」になります。

九曜紋 星 水玉



・・・お気づきでしょうか?

これ、見事なまでに「水玉」ですよね。

わたくしは最近になってこの事実に気がつきました。いや、もちろん我が家の家紋が九曜だってことはもうずいぶん前から知っていましたが、「あれ?よく見たらこれ、水玉じゃん」って思ったのはほんの数ヶ月前のことでした。

なんですが、実はこれ、正確に言うと水玉ではありません。



モチヅキ私物の色無地着物についている九曜の縫い取り紋

 

九曜とは古くはインドの天文学にまでさかのぼる考え方の1つで、丸(曜)は星(天体)を表しています。そして中央の星をぐるりと8つの星が囲む様子は完成された状態を表しており、「満月」を意味する名前=望月家に家紋として用いられるケースが多かったようです。

そしてこの九曜をアレンジして作ったと言われているのが、伊達政宗の「水玉文様陣羽織」です。

 

水玉文様陣羽織 研究
「水玉文様陣羽織」仙台市立博物館のHPより

 

伊達家は伝統のある家柄のため、結構沢山の家紋を使用していたそうなんですが、そのうちの1つが九曜と、この羽織の中央に刺繍されている竹雀紋でした。

また、今でこそ「水玉文様」と呼ばれているこの羽織ですが、収蔵されている仙台市博物館の説明によりますと、伊達家の宝物目録には「紫地羅背板五色乱星」と記されているそうです。つまり羽織にちりばめられている五色の丸は、デザインされた当時は、水玉ではなく星(曜)と呼ばれていたことになります。

となると、「『水玉』という言葉は、伊達政宗の時代よりも後から(江戸時代に入ってから)出てきた可能性が高い」という1つの仮説が立てられます。

逆に言うと、それ以前は水玉模様みたいなものは、「星」もしくは「曜」という名前で呼ぶことが一般的だったのかもしれません。

鍵は、安土桃山~江戸時代にあり。

という訳で引続き調査を進めたいと思います。レポートの続きをお楽しみにー!


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