月別:2015年07月

通じる人

半歩先のドラマチック

Saori Mochizuki サオリモチヅキ 望月沙織 水玉 バッグ ストライプ ボーダー リボン ドット
 
こんにちは、バッグブランドSaori Mochizukiデザイナー&中目黒Accent Colorオーナーの望月沙織です。

今、バッグに使う革の加工で試行錯誤しています。

加工屋さんに指定された通りの革を革屋さんに発注して加工依頼に出したんですけど、待てど暮らせど連絡が来ない…。

しびれを切らして連絡してみると

「あっ!(…って実際は言ってなかったけど、わたくしにはそう聞こえた…!)ちょっと明日電話してもらえますか」

これ、完全にそば屋の出前状態じゃん、と思いつつ仕方がないので翌日電話をしてみると、

「えっと、あの革だと全く加工がのりません。仕方がないのでちょっと試行錯誤してみます。お時間ください」

えぇぇぇーーっ。

加工がのらないって、どういうこと?
ここから更に時間がかかるって、どういうことー???

こちらは言われた通りの革を手配したのに、なんでこんなことになるんだよ、と、頭の中は怒りとも悲しみともつかない感情でぐるぐる、、、。でもこういう経験て初めてではないので、どうしようもないや、と思ってしばらく待ちました。

数日後、できました~って連絡が来たので、ほっと胸をなでおろして引き取りに向かってみると、はいこれです、とモノだけポンと渡されて一切の事情説明がない。。。

かといってこのままおめおめと引き下がる訳にもいかないので、

できないって言ってたのにできたらな、どうやってやったのか説明してくれないと次に発注をかける時に困る。
革も別の種類にした方が加工がしやすいなら、どんなものにかえたらいいのかおしえてくれないと前に進めないーーー。

と食らいついたのですが、返ってくるコタエは「なんか、結果的にうまく言った」「もうちょっと仕上がってる革がいいかも」と、クモをつかむようなものばかりで、結局なんら建設的な意見を聞くことはできませんでした。

それでもそのまま放っておく訳にはいかないので、今度は革屋さんへ直行。

これまでの経緯を説明し、加工屋さんじゃラチがあかないので、どういう革を手配したらいいのか相談にのって欲しいという話をしました。

すると革屋さんがこうおっしゃいました。

「失礼な言い方になってしまうかもしれないけれど、加工屋さんも相手をみて仕事をしていると思う。うちはその加工屋さんに毎日出入りしているから、うちが一言『絶対失敗するなよ』って添えればあっという間に仕上がってくると思うけど、あなたが一人でお願いしに行っても、軽く扱われてしまう可能性は否めません。例え悪気がなかったとしても、普段付き合いがない人の仕事よりも日々取引している人の仕事の方を優先してしまうのは人情として仕方がないことだと思います」

はい、、、確かに。
おっしゃる通りだと思います。

わたくしが(規模的にはまだまだ分不相応ながらも)株式会社組織を立ち上げた最大の理由もここにあり、それでも以前の、なんの肩書きもなかった個人事業主時代に比べると格段と動きやすくなったのは事実ですが、まだまだ新参者が簡単に食い込んでいけない所もあり、今回の加工屋さんはその典型的な例だと思ってます。

人間の本質は組織や肩書きで決まる訳ではないし、そんなものあってもなくても生きていける、とは思うのですが、とはいえ、それがモノを言う世界があるのも認めざるを得ない事実なので、だとしたらどうやってそれとうまく付き合っていけるのかを考えるしかない、ということを改めて実感しました。

今回は、見るに見かねた革屋さんが矢面に立ってくださることで話は一歩前進。

「うちが一度向こうに事情を聞きにいってみますから、そのコタエをみてから、使う革を決めましょう」

と頼もしいことをおっしゃってくださいました。

ここからまたどんな展開が待っているかはわかりませんが、ご好意を無にすることなく、わたくしも自分ができることを精一杯やろうと思います。
 
バッグブランド「Saori Mochizukiデザイナー
セレクトショップ「Accent Color」オーナー
望月沙織

Saori Mochizukiの水玉バッグ
Saori Mochizukiの水玉バッグ
Saori Mochizukiの水玉バッグ
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キライなものはキライです

半歩先のドラマチック

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こんにちは、バッグブランドSaori Mochizukiデザイナー&中目黒Accent Colorオーナーの望月沙織です。

夏ですね。昨年までアトリエを構えていた二子玉川のアパートは、多摩川の目の前にたっており、住人はみな鍵を渡されてアパートの屋上にのぼることが許されていたので、毎年その屋上にお酒やお弁当を買い込んでお客さんをお招きして多摩川花火大会の鑑賞会を開いていました。

でもそうでもなければ、わたくしにとって花火大会はわざわざ観に行きたいと思うイベントではありません(唯一毎年行っていた足立区の花火大会も、最初の頃はスキスキでのんびりできたので良かったのですが、最近は混雑するようになってしまってげんなりしました)。

花火大会に限らず、混んでてギッシリ or 長時間待つ&並ぶ、という状況がそもそも好きではないので、そういうことになりそうなものは極力避けるようにしています。

それ以外にも、BBQとか、キャンプとか、家の中でできることをわざわざ外でやることがあまり好きではないので、みんなが盛り上がる夏っぽいイベントは全般的にあまり好きではありません。

・・・っていうことを言うと、子供の頃は変わっている人扱いされてつまはじきにされたり、人にあらずみたいな扱いを受けるので、そういうことに怯えてなかなか本音が言えませんでした。周囲のオトナたちからも、「和(輪?)を乱すのは良くない」みたいなことをじわじわとすり込まれて育ってきたので、「本当はワタシはそうは思わないけど、、、」ということがあったとしても、それが多数派の意見でなければそっと飲み込む…みたいなことを長年やり続けていました。

でも今は違います。

いつ「たとえヒトと違っていたとしても、言いたいこと言うぜ」というスイッチが入ったのかは自分でも定かではありません。

なにかでパーンと変わったと言うよりも、例えば通勤ラッシュのように、こんなしんどい目にあってまで皆と同じことするのに何の意味があるんだ?!というマイルストーン的な経験をいくつか経て、そうなったんだと思います。

そしてそこから外れることがすごく恐ろしいことだって誰が決めたの?!という根本的なことに思いをはせてみると、なんだかとてもバカバカしくなってきて、人に迷惑を掛けないんだったら別に外れたっていいんじゃないの?!と思うようになったんだと思います。

そうなってからしばらくは、自分がそういう生き方をするだけに飽き足らず、皆と同じことをやっている人を見ると、「そんなことしてるのバカバカしいよ、もっと自分らしさを追求しなよ」とちょっかいを出すことに躍起になっていた時期もありました。でもそれこそまさに「みんなを同じ枠にはめ込もうとする」行為な訳ですから、迷惑な話です。もしそういう生き方を推奨したいのであれば、混んでたって花火をみたいって人は、好きに行かせてあげればいいのです。

また当然ですが、「みんながやってないこと」はほぼ前例がないので、自分でやり方を切り開いていくしかなく、「みんながやっていること」に手をつけるよりはしんどい思いをします。

そういうしんどい思いをしている自分を理解してもらうことにムキになっていた時期もありましたが、それも愚の骨頂で、ヒトからしてみたら「自分で好きにやってるんだから(辛いかどうかなんて)知るか!」って感じだと思います。

と言う訳で、最近になってようやく、“違っているかいないか、どちらがしんどいかしんどくないか、が重要なのではなく、自分と価値感が違う人がいたとしても、まずはその存在を認めること、そしてその上で、その人とどう共存していけるのかを考えること” が重要なんだろうな、ということにたどり着きました。

なかなか自分以外の考え方に想いを馳せるっていうのは難しいことだと思いますし、またそれを認めるというのも簡単にできることではないと思いますが、そういう想像力や包容力を自分が持てるようになればなるほど、自分自身も「キライなものはキライ」とどんどん言えるようになるんだと思うので、自分が好き勝手に生きていくためにも、なるべく他人のあり方には寛容でいたいなと思います。

 
バッグブランド「Saori Mochizukiデザイナー
セレクトショップ「Accent Color」オーナー
望月沙織

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ポイントはそこじゃない

Saori Mochizuki 期間限定ショップ / 半歩先のドラマチック

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こんにちは、バッグブランドSaori Mochizukiデザイナー&中目黒Accent Colorオーナーの望月沙織です。

来週水曜から、下記のイベントに参加させていただきます。

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「小・可・愛・東・亜・的女子 ~ちいさくてかわいいもの~ little thing@TOKYO解放区」

2015年 7月 22日(水)~ 2015年 8月 4日(火)
営業時間:10:30-20:00
場所:伊勢丹新宿店 本館2階=センターパーク / TOKYO解放区

トークショー: 8月1日(土) 15:00~
※イベント期間中1500円以上ご購入の方を優先的にご案内致します。詳細は店頭までおたずねください。http://pinty.pinkにて最新情報を提供します。

<イベント詳細はこちらのページでご確認ください>
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little thingは、世界的に人気のある中国発のファッションマガジンです。そして雑誌のことは知っているのに、実店舗があるということを知らない方が意外とたくさんいてびっくりするのですが、香港にほど近い、中国南東部の街、深センという所に雑誌と同じ名前のとても素敵なショップがあります(本日の写真は、その店内の様子です)。

わたくしは今年の2月に営業で深センのlittle thingを訪れ、オーナーのJasonさんからいろんなお話をうかがう機会に恵まれました。自分のやっていることに対しての鋭い突っ込みも受け、はぁぁと少々落ち込みもしました。

そしてこの時の体験が、わたくしの中国に対する概念を覆しました。

深センというエリアは、中国政府が「おしゃれ特区」として成長させようとしている街で、まだまだ荒削りな雰囲気は否めませんでしたが、ハンドメイドの野外販売イベントが行われていたり、little thing をはじめとした素敵なショップやカフェが並んでいたりと、わたくしの中の「ダサくて、パクリが横行する中国」というイメージ(もしくは偏見)をガラガラと崩してくれるほど、ユニークでファッショナブルな雰囲気がありました。

で、その時に思ったのが、(当然ですが)問題なのは、国じゃない、ということでした。

どこの国・エリアに属していても、ダサい人はダサいし、かっこいい人はかっこいいんです。

一般的に日本製と中国製だったら、イメージの良さはまだ日本製の圧勝で、「made in China」はあまり良いイメージがもたれていません。

また、そう思われても仕方がないような事件が中国で次々に勃発しているのも事実なので、字面だけで反射的に「中国製」=「ダメ」と判断する人がいても仕方がないことなんだろうな、と思います。

ただ、昨今の中国のモノ作りの成長は侮れません。

というか、世界に品質を誇っていた日本のモノ作りが、職人の高齢化などを軸にどんどん崩壊しているという悲しい現実があり、国内で作ったからといって、必ずしも良い物ができる訳ではない、ということをわたくしはこれまでバッグの生産を通して、イヤというほど体験してきました。

かつてサンプル製作で経験しましたが、モノによっては中国で作った方がクオリティが高いものが仕上がってくる、ということも珍しくないのです。

だから、「中国のものだから」と頭ごなしに否定するのは良くないと思いますし、逆に、「日本製だから」ということだけにアグラをかいて、なにも努力をしないでいるのもとても危険だと思いました。

わたくし達の世代は、これまでの世代が必死になって築いてくれた信頼のもとに何の苦労もなく立っている、ということははっきりと自覚すべきで、その有利な武器をもっと有効的に使えるスベはないか、日々考えていく必要があると思います。

逆にいうと、中国でモノ作りをしている人たちは、「ダメ」というレッテルを跳ね返すべく努力を積むと思うので、もしも作っているモノのレベルが同じだとしたら、体力は彼らの方が遥かにあるだろうな、と思ってます。

今後はそういう人たちと戦って、「やっぱりあなたのモノが欲しい」と思ってもらわなければいけない訳で、そうなったとき、「だってうちは日本製だから」っていうのは武器になり得ないと思っています。

という訳で、little thingのファンの方達に、うちの商品も喜んでもらえたら良いなと思います。

2週間開催されますので、お時間ありましたら是非遊びにいらしてください。

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感覚を言葉にする作業

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こんにちは、バッグブランドSaori Mochizukiデザイナー&中目黒Accent Colorオーナーの望月沙織です。

今、(自分としては今まで使ったことのない)新しい素材でのバッグ作りに挑戦している所なんですが、これがまーー、なかなかうまく行かない!

例えて言うなら、生まれてはじめて自宅でイチからパンを焼こうとした時。そんな感覚に似ています。

パンなんて、物心ついた時から身の回りに日常的に溢れていて、数えきれないほど散々食べてきている物なので、全く珍しい物ではありません。

でもいざそれを原材料からひも解いて自分で作ろうとすると、とんでもないことになる…。

水と小麦粉をどれくらいの割合で混ぜたら良いのかもよくわからないし、どれくらいの時間寝かせたら良いのかもわからないし、わからないことだらけなので「パンの作り方」みたいな記事をネットで検索したりして、アレコレ情報を集めることと思います。

でもそこに書いてある通りにやっても、膨らまない!おいしくない!なんてことはザラにおきます。

・・・これと全く同じようなことが、今、わたくしのバッグ作りの現場では起こっているんですね〜。ちまたでよく見るあれとこれを組み合わせて、Saori Mochizukiらしいものを作ろうとしているんですが、もう大変です(涙)。

特に例えば、パン生地なんかのレシピには「耳たぶほどの柔らかさ」なんて指示が出てくることがありますが、耳たぶの感触は人それぞれですよね。

業界の人にとってはある特定の固さが「常識」の固さだったとしても、そこまで技術的に詳しくないわたくしにとっては未知の物なので、その固さが具体的にどういうものなのか、確認する必要があります。

でも、感覚的に分かっていることを根掘り葉掘り説明させられることにいらついてしまう職人さんもいますから、なかなかその曖昧な部分を生産に関わる人間全員が共通認識として持つことは難しいのです。

とはいえ、それができないことには良い物作りにたどり着けないので、なんとか必死にそこを確認して、誰が聞いても迷いのない言語に化して、製造に落とし込んで、再現化(商品化)させようとしている、、、今、そんな状況にあります。

ちょっと前、小保方さんが

「STAP細胞はありまぁす!」
「ワタシにしかできないコツやレシピみたいなものがある」

と言ったのを聞いて、何となく鼻で笑った自分がいましたが、今となってはちょっと彼女の言ってることも分からなくはないよな、、、と感じています。

加工屋さんに「できる!」って自信満々に言われたことが、「できませんでした!」と、これまたはりきって報告されたりして、腰からガクガク崩れ落ちる、、、を繰り返しておりますが、あきらめずに試行錯誤したいと思っております。

成功することを祈っていていただけたら幸いです。

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