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今、わたくしに一番足りないものを持っている人たち。/「てんてんしましまを探して」第3回・「Miutt(ミュート)」プロデューサー・中川信幸さん、デザイナー・榮川真帆さん

「てんてんしましまを探して」 / ブランド

「てんてんしましまを探して」は、毎週木曜正午更新
てんてん(水玉)しましま(ボーダー&ストライプ)のかわいいアイテム、そこに携わる人々の思いをSaori Mochizukiのデザイナー・望月沙織がつづります。

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「てんてんしましまを探して」第3回
【Miutt(ミュート)プロデューサー・中川信幸さん、デザイナー榮川真帆さん】

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デザイナー・榮川さん

香港から戻ってきてこんにちは(香港、すばらしかったです!)、バッグデザイナーの望月沙織です。

今年の1月、わたくしは夢が1つ、叶いました。それは、憧れていたブランド、「Miutt(ミュート)」さんとイベントができたこと。

作りたいものだけを作り続けたり、売りたいものだけを売ろうとする(でもちゃんと売れない)人は、今までも沢山見てきたけれど、作りたいものだけを作って、売りたいようにきちんと売る人には、まだほとんど巡り会ったことがない。

その数少ないうちの1組が、「Miutt」の中川信幸さんと榮川真帆さんだ。

「Miutt」が仕掛けるイベントは、立地がいいのはもちろんのこと、売場全体の装飾も、気持ちがうきうきするようなとっても楽しい雰囲気で、お客として遊びに行った時、どうしてこんな売場が作れるんだろう、と心の底からうらやましく思った記憶がある。その秘密を、今回色々聞いてみた。

そもそも「Miutt」は、「東伸工業株式会社」という関西を拠点にしたインクジェットプリンターの会社が展開するブランドで、自社のプリント技術を存分に使った明るくカラフルな世界観を表現するオリジナルブランドだ。アイテムはシルクのスカーフといった定番的な商品から傘やレギンスなど、多岐にわたる。

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榮川さんおススメの「てんてんしましまグッズ」。Miutt人気商品のシルクポーチ(ポシェットにもなります)

そこに描かれるプリントの柄も、同じものを探し出すのが大変なほど沢山あるのだが、それをデザイナーの榮川さんが1人で全部描いているというから、びっくりする。そして更に言うと、榮川さんは専門的に絵を学んだ経験すらないというのだ。・・・これって、どっかの望月とよく似た話だけど(笑)、榮川さんの場合は、何がきっかけでこの業界に入ってきたのだろう・・・???

昔からファッションが好きだったけど、大学では心理学部に在籍していたので、就職活動でアパレルの企画部門を受けても、経験がないということで、採用されなかったんです。だから一旦はあきらめて、放送大学で事務の仕事をしていました。

でもそこに通ってくる、「私なんて、この歳になってもやりたいことだらけだよ!」という年配の方達の姿を見ていたら、「人生は1回キリなんだから、本当にやりたいことに挑戦した方がいいんじゃないか?!」と思うようになったんです。

そこから夜間の服飾学校に通いつつ、洋服の工場などでアルバイトを始めるようになる。加えて、ファッションの世界で生き抜いて行くために、オリジナルのプリント技術など、他の人にはない強みを持ちたい、と思い始めた時に、東伸工業の募集要項がたまたま目についたそう。

「そこで、門を叩いたら中川が出てきたんです(笑)」

・・・でも中川さん、経験がない榮川さんを採用した決め手は何だったんですか?!

あのねー、面接の時、大胆なチェック柄のスカートを履いていたのよ。他はよう覚えてない。でもその感覚が本当にいいな、と思ったの。

ちなみにね、望月さんの商品をrooms(アッシュペーフランス主催の国内の展示会。うちとMiuttさんはいつもこの展示会に出展していて、そこで知り合いました)で見た時も、榮川を見つけた時と同じ感覚を抱いた。インパクトがあって、記憶に強烈に残って、1年経っても忘れられなくて、1年後にまたroomsで再会して、やっと話ができたと思ったら、ずっと昔からの友達みたいに会話ができて、これは面白い、と思ったのよ。

なんとまあ、有難いお言葉。多分それは、わたくしと榮川さんが似たような道をたどっていたから、共感する部分が多くて話が弾んだのかな、と思うけれど、いずれにしてもそのカンを信じて引っ張り上げてくれた中川さんにはただただ感謝で、以来わたくしは心密かにものすごく頼りにしている。

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2014年1月に参加させていただいたイベント・阪急うめだ本店「カラーフル」/東伸工業さんのプリントで装飾を作り込んでいただきました

ところで実はスタッフ採用の際、最後の最後で榮川さんともう1人迷った人物がいたそう。その人は経験は申し分なく、総合力でいったら圧勝だった。それでも中川さんは、榮川さんの「チェックのスカート」を選んだ。

そんな入社後、初めて榮川さんがあげてきた柄が、「宇宙戦争」と「クモ」の柄だったそう。

普通プリント柄っていったら、花柄とかそういうもんかと思うでしょ(笑)。それなのに、宇宙とクモやで。でも新しいことをやるにはそれくらいの方が面白いと思ったのよ。

そしてその柄は当時5億円規模のとあるブランドの目にすぐとまり、採用される。いまやそのブランドは20億円規模に成長し、柄は100%榮川さんのデザインだそう!!!

・・・普通はやらないものしかやりたくないし、そこを俺が100%フォローできればいいだけのこと、と中川さんはさらりと言うけれど、「普通じゃないもの」は、「普通じゃない」だけに、そう簡単には売れない。その壁にぶち当たり、脱落していくデザイナーは大勢いる。わたくし自身も、今さんざんもがいているからよくわかる。

じゃあ一体何がポイントなんだろう、と思って聞いてみると、いくつかこたえが返ってきた。

1つは、モノの作り方を知っていること。
もう1つは、モノを作ってくれる人にきちんと頼むこと。
そして、それを売れる売場を作ること。

「もうねー俺だって不安だよー」と中川さんははにかみながら言うけれど、それでも責任を一身に背負って、それをやってのける中川さんは本当に凄いと思う。そしてそこに挑むように、次々に柄を生み出す榮川さん。そんな、時に掛け合い漫才をしているような2人の姿は、ハタで見ていて本当にうらやましくて仕方がない。

私たちは身近な人を幸せにしたいと思ってモノをつくっている。望月さんが日常をドラマチックにしたいと思うのと同じように、私たちは日常を笑いにしたいから、イラストに自分の似顔絵を潜ませたり、くすっと笑える部分を仕込んでいる。そして、そうやって語れるストーリーがきちんと存在するかどうかは、やっぱり売る時にはとても重要だと思うんです。

ううう。分かっているけど、そこが難しいんです。「やりたい放題やってるでー」と中川さんは笑うけど、コストバランスをとりながらモノを作るのは本当に難しいし、職人さんに自分のやりたいことを理解してもらうのも本当に大変。なにより、売れる売場って、どうやったら作れるのっ?!?!?!

中川さんと榮川さんの言葉の中には、一杯の愛情が詰まっていて、簡単にできるようで、できない努力も詰まっていて、、、どうしたらわたくしもそうできるのか、まだわからないことが山のようにあるんだけど、だからこそ、、、全力で追いかけますので、どうぞこれからもこのテンテンシマシマをよろしくお願いします!

ちなみに中川さんの写真をとろうとしたら、いややーと逃げられました。どうやらわたくしの周りには写真嫌いの人が多いみたいです…笑。

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

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宇宙船に飛び乗れ!/「てんてんしましまを探して」第2回・香港「THH-Tokyo(テェーアッシュアッシュ トウキョウ)」デザイナー・Takako BHさん

「てんてんしましまを探して」 / ブランド

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「てんてんしましまを探して」第2回
【THH-Tokyo(テェーアッシュアッシュ トウキョウ)デザイナーTakako BHさん】

THH-Tokyo takakoBH

香港からこんにちは(現在香港ファッションウィークまっただ中。本日展示会最終日でございます)、バッグデザイナーの望月沙織です。

「てんてんしましまを探して」、本日は第2回目、グッドタイミング!ということで、日本の伝統的な帯や着物を使って、現代のモダンなドレスをデザインされている香港在住の方の紹介をしたいと思います。

*ブランド名&デザイナー名は?
___THH-Tokyo(テェーアッシュアッシュ トウキョウ)、Takako BH

*前職はどんなお仕事をされていましたか?
___役者/歯科医師(継続中)

*今のお仕事を始めたきっかけは?
___自分が着たい!と思う着物を生地として扱った服が無かったから。

*望月と知り合ったきっかけは?
___Creativeな知人を介して。

*ご提案いただいた「てんてんしましま商品」のポイントは?
___温故知新。「着物」という「古き」から「新しき」服という形をとることで「着物」の良さを再認識できるところ!なにしろ可愛い!!

*あなたにとっての「日常の中のドラマチック」とは?
___「日常」の中に潜む「非日常」。「人生は舞台であり 各々がその物語の主役である」。因みにTHH-Tokyoのコンセプトも「ドラマチックな日常を」です。笑

以上。

・・・以上?!?!

前回の記事のテンションはこれなのに、もう終わり?!?!

と、思われたかもしれませんが、わたくしがHottaさんに東京で出会って、香港で再会して、この記事を書き上げるまでにかかった時間⇒計9日。

香港の人は、

「行く?」
「行く!」
「OK、Let’s GO!!」

と、話がその場でどんどん決まっていく小気味良いテンポの人ばかりですが、Hottaさんもまさにそう。

自分の人生をまっとうすることに全力で、やりたいこと、目標にはまっしぐら。その間常にフル回転でいろんなことを考えているので、チャンスの宇宙船(電車でもバスでも飛行機でもなく、宇宙船!)がやってきた時に、ぱっとためらうことなくそこに飛び移れる感じがあります。

だって、、、経歴にある「歯科医師(継続中)」に、???ってなった方も多いと思いますが、日本で歯医者さんをやっていたら、そのキャリアに縛られてしまって、海外に移住しよう、お洋服のデザインをやってみよう、なんて発想自体が浮かんでこないでしょう。

100歩譲って浮かんできたとしても、普通の人は、どうしようどうしよう、香港行ったら歯医者ができなくなる、、、洋服も作ったことなんてないし、、、と悶々と悩むと思う。

でもHottaさんは、両方をやれる方法を見いだす(わたくしが東京で初めてお会いした時も、「この一時帰国の最中にうわーーーっと治療してました」とおっしゃってました)。決して何のせいにもしないし、見ていて本当に楽しそう(本日のお写真の通りでございます)。

わたくしが香港でまたお会いしたいです!って言えば、「わかった!」と展示会初日にブースに現れてくれるし、お話を伺って記事にしたいんです!って頼めば、あっという間にてんてんしましまドレスの写真を送ってきてくれる。

わたくしもよく、「なんて前のめりなの!!」とびっくりされることが多いのですがHottaさんを見ていると、いや、わたくしなんてまだまだ、と思ってしまいます。

・・・というか、そんな2人をみて、「なんだか同じニオイがしてとても似てる!と感じたから、これは絶対に引き合わせねばと思ったんだよね」と、仲を取り持ってくれた、デザイナーの下平ますみさんにも感謝!

似てるもなにも、ブランドのコンセプト、ドンかぶりでしたよ!!(笑)思考回路が似ているのかな?!・・・だとしたらわたくしはとっても光栄です。

現在ブランドのサイトを構築中とのことですが(こういうところも好き。ちゃんとサイトを用意してからじゃないと〜と、ウジウジしちゃう人も多いと思います…)、きっとまた素敵なドレスがたくさん見られることと思います。

また香港でお会いしたいな。いや、その前に東京で会えるかも?!いやいや、もっと違う場所で、かも?!

ちょっとテンションが高くてガハハと笑いながら通り過ぎていく2人組とすれ違ったら、それはきっとわたくしとHottaさんだと思います。ぜひ声をかけてくださいませ。いっしょに宇宙船に乗っちゃいましょう。

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

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【THH-Tokyo(テーアッシュアッシュ トウキョウ)】
ブランドのショップは準備中(Hottaさんのサイトはこちら)

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