カテゴリー:ブランド運営について

全てのものには理由がある/「てんてんしましまを探して」第6回「WREATHE(リーズ)」古畑直哉さん、徳光綾さん

「てんてんしましまを探して」 / ブランド

「てんてんしましまを探して」は、毎週木曜正午更新
てんてん(水玉)しましま(ボーダー&ストライプ)のかわいいアイテム、そこに携わる人々の思いをバッグブランドSaori Mochizukiのデザイナー・望月沙織がつづります。

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「てんてんしましまを探して」第6回
WREATHE(リーズ)/古畑直哉さん・徳光綾さん

WREATHE
WREATHE(リーズ)/デザイナー・イラストレーター:徳光さん

こんにちは、水玉とボーダー&ストライプのバッグデザイナー・望月沙織です。本格的に夏になりましたね。いかがお過ごしでしょうか。

さて本日ご紹介するWREATHE(リーズ)さんは、特に絶滅危惧種の動物をモチーフにしたバッグや小物雑貨で大人気のブランドです。営業面ご担当の古畑さんと、デザイン面ご担当の徳光さんのお2人で運営されています。

わたくしは共通の知人を介してWREATHEさんと知り合いました。物腰が柔らかくて、「よくうちのこんな商品を買ってくれるよねー」なんて自虐的に笑い飛ばしつつも、こだわりをもって丁寧にお仕事をされている雰囲気になんだか訳もなくとても惹かれて、わたくしは出会った数日後にうちの展示会のブース壁画を依頼しました。その時のイラストも、まー、お洒落でかわいくて!

Saori Mochizuki サオリモチヅキ 望月沙織 水玉 バッグ ストライプ ボーダー リボン ドット マギーちゃん
これがその時の様子。うちのイメージキャラクター・マギーちゃんのイラストを描いていただきました(2013年3月繊研新聞主催・合同展示会「PLUG IN」にて)

今回はその惹きつけられた秘密がどこにあるのか、詳しく伺ってみたいと思います。

———そもそもお2人とも文化服装学院(以下、文化)のご出身だそうですね。

徳光さん(以下、徳)
私は最初、流通科のスタイリストコースを卒業した後、文化で先生をしてました。先生の大半は自分の出身コースの中で教えるだけなんですが、私の場合は7年かけて、流通科の様々なコースを渡り歩きました。そこで色んなジャンルに広く浅く携わった経験は、今の仕事にとても役立っているのですが、最終的にはどーーーしても1人でイラストレーターをやってみたくなって退職しました。

古畑さん(以下、古)
僕はスタイリストコースを卒業した後、ポールスミスで販売の仕事をしていました。でも今度は内側の仕事がしたくなって、レディースアパレルの営業に転職したんですけど、そのブランドがなくなるのを機に、広告営業に転職して、テレアポの仕事をしてました。

そのお2人が、なぜ一緒にブランドを立ち上げようと思ったのですか?

<古>
もともと僕は昔から経営の仕事がしてみたかったんです。僕のかわりならいくらでもいるような仕事ではなく、僕が決めないと始まらない、っていうのをやってみたかった。そしてファッションで何かやってみたいと思ったのですが、僕はデザインができないので、どうしようかな、、と思った時に、目の前に徳光がいた(笑)。そこで、「イラストを好きなだけ描けるからやってみない?」と誘ったのがそもそもの始まりです。

それに対して徳光さんはどう思ったんですか?

<徳>
あ、いいんじゃない?!くらいの軽い感じでした(笑)。

でもそこからどうして絶滅危惧種のイラストでバッグを作る、というスタイルにたどり着いたのでしょうか。

WREATHE
コツメカワウソポーチ(手前左)、スマトラトラポーチ(手前右)、フタコブラクダバッグ(奥)/どの子達も、絶滅の危機に瀕しているとは思えないほどユルユル描かれていて、そのギャップにやられます。

<徳>
私は動物が好きなので、最初は適当に動物を描いていたんですが、古畑が「なんで動物なの??」って聞いてきたんです。古畑は、リボン1個、レース1枚に至るまで、なぜそれが必要なのか、いちいち全部理由を求めてくるんです。

<古>
ほら今聞きましたかっ?!適当に、って言ったでしょ。それはダメなんですよ。僕は自分が納得しないと嫌なんです。だってそうじゃないとお客さんを納得させることはできないじゃないですか。

<徳>
だったら絶滅危惧種を描けば、その事実にスポットを当てることができるし、お客さんにもそれを伝えることができる。そして動物を描きたいっていう自分も納得できると思ったんです。

この言葉を聞いて、わたくしは思わず「うーむ、、、」と考え込んでしまいました。わたくしの作っているバッグ、古畑さんに突っ込まれたら、ちゃんと全部にコタエを返せるだろうか。。。ただぬるっと「かわいいから」という理由で作ったものを買ってくれるほど、お客さんは甘くはない。

でもそれを表現する手法として「バッグ」を選んだのはなぜだったのでしょうか。

<古>
最初は洋服とバッグ、両方やっていたんですが、初めて出た展示会「rooms」で、バッグに良い反応があったんです。また、洋服を作るにはミシンの種類がたくさん必要など、生産基盤を整えるのにハードルがあった。だったらまずはバッグに絞ってやっていこうか、ってなりました。

でも、襟付きのバッグとか、洋服をやっていたからこそのデザインはたくさんあります。ただそれは「バッグ」のデザインではないので、「うちでは生産できません」って工場に断られてしまうケースも多々あります。だけどそこをなんとか頑張って、単なるバッグ屋やポーチ屋に作れないものを作っていけば、うちの強みになる、と思っています。

ちなみに今回ご紹介してくださった「てんてんしましま」グッズの1つが本日1枚目の写真で徳光さんが持つバッグ。

これ、実は浮世絵の構図をそのままバッグに写し取っているんです。ブラウスやネクタイのようなモチーフがいかにもWREATHEさんぽくてとってもユニーク。でもあれ?これは動物じゃないぞ。

WREATHE
柄違いのデザイン

<徳>
私は価値あるものを日常に取り入れてもらいたいと思っています。宝石をたくさんちりばめたイラストのバッグも作っているんですが、実際の宝石をそんなに持ち歩いたらとんでもなく高価になってしまうけど、絵にしてバッグにプリントしたら、気軽に持って歩けますよね。

たしかに、絶滅危惧種も実際の生体は身近に飼って触れ合ったりすることは不可能ですもんね。

<徳>
埼玉のなんにもない場所で生まれ育ったので、たまに自然の中に入っていって動物と触れ合うのが楽しくて仕方がなかった。私にとって動物の存在も(価値ある)非日常なんです。基本的には家からあまり外に出て行くタイプではないので、ドラマチックなものは外から与えてもらうもの、っていう感覚があって、例えば窓の外を見ていて雨が降ってくると、「あー、アリンコはどうしているのかな」とか空想してしまうんですよ。

<古>
えっ?!毎日そんなこと考えてるの?!僕はどっちかって言うと、外に出て行って、人と会ったり、自らドラマチックなことを探すタイプだから、(徳光さんの話に)びっくりした。

笑。

でもそんな真逆のお2人をつなぎとめているものってなんなのでしょうか。

<徳><古>
うーーん・・・。

<徳>
わからない、けど、1つあるとすれば、2人とも自分に自信がないところかな。自分たちの価値は他人が決めると思ってる。だからお互いにお互いのダメな所を批評しあって、補完しあっているんだと思います。

<古>
僕たちは毎回、商品を世に出した瞬間、反省点が見えてしまいます。いや、もちろん出すまでは「これで完璧!!」と思って作ってるんですが、展示会の準備で商品を並べている最中にどんどんアラがみつかる。

<徳>
そうそう、だから逆に、どうしてこれ売れなかったんだろ、、、??ってものがない。そりゃそうだ、ここがだめなんだもんね、っていうのがすぐにわかるので。

ううう。そ、それは無茶苦茶すごいことだと思います。わたくしは、まだ「どうして?どうして?」のループにはまることしばしば・・・。そしてそれは大半の駆け出しデザイナーにも当てはまることだと思う。

だけどお2人のお話を伺って、それはおそらく一番最初の段階で、「なぜそのアイテムを作る必要があるのか?」という部分の検証が足りてない証でもあると気づきました。

WREATHE
いまやWREATHEさんの代名詞ともいうべき、かえるちゃんのティッシュポーチ。昨年末、大阪高島屋で一緒に催事をやらせていただいた時、置いておくだけでボンボン売れていく様に衝撃を受けました!

いつかはわたくしも、このかえるちゃんポーチのように、ヒット商品を作ることができるでしょうか。いや、ヒット商品を作ろうと思っちゃいかんのです。どうしてそれが世の中に必要なのか。そこなんです、そこ!(おい、目を覚ませ、モチヅキ!!)

今回もまた、とってもいい勉強になりました。ありがとうーWREATHEさん!!やっぱりさすがです。

<徳><古>
さっ。もう終わりにして、飲みましょうか!

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

(一部敬称略でご紹介させていただいている場合がございます。ご了承ください)

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日常を楽しむ天才が語る「弁当は小宇宙」/「てんてんしましまを探して」第5回・ブラスアンドカンパニー株式会社・乾宏司さん

「てんてんしましまを探して」

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「てんてんしましまを探して」第5回
ブラスアンドカンパニー株式会社/乾宏司(いぬい こうじ)さん

乾さん
乾宏司さん

こんにちは、水玉とボーダー&ストライプのバッグデザイナー・望月沙織です。明日から8月。あせります…。

さて本日ご紹介する乾さんは、ブラスアンドカンパニーという会社で「東京純豆腐」などの飲食事業に携わっていらっしゃる方です。

その肩書きだけをみると「???」と思われるかもしれませんが、実はわたくしが一番最初に乾さんにお会いしたのは、遡ること8年前、まだハンドメイド作家だった頃に、雑貨店「アリヴェデパール」に売込みに行った時でした。

当時アリヴェデパールは、ブラスアンドカンパニーの中の1事業部でした(現在は独立して株式会社アリヴェデパール)。

そこへ、忘れもしない、真夏の暑い日、スーツケースに自作の雑貨を詰め込んで、ドキドキしながら営業へ行き、お店のバックヤードで待っていたわたくしの目の前に現れたのが、当時プロデューサーとしてアリヴェデパールを担当されていたマツドアケミさんと、飲食事業部とアリヴェデパール事業部を兼任で担当されていた乾さんでした。

びしびしとわたくしの商品に厳しいダメ出しをするマツドさんの傍らで、「そうかな〜ボクはいいと思うけどなぁ〜」とつぶやいていた乾さんの姿に、すがるような目を向けていたあの日のわたくし…(笑)。

その時のお2人の愛情あるご指摘と、その厳しいオーディションを経てアリヴェデパールで商品を販売していただけるようになった実績は、現在のわたくしを語る上では欠くとこのできない大きなマイルストーンとなっています。

そんな乾さんがこの「てんてんしましまを探して」に登場してくださることになったのは、第1回目の+flower、齋藤さんの記事がきっかけでした。

アリヴェデパール時代、齋藤さんの上司だった乾さんは、そもそも「+flower」の名付け親だそうで(初耳でした!)、「よくあの齋藤が取材を受けたよね」と珍しがってくれました。それで調子に乗ったわたくしは「では乾さんも!」とお声がけさせていただいたのです。

というのも実は乾さん、とっても素敵な「弁当ヲジサン」でして、日々facobookに素晴らしいお手製弁当の写真をアップされているのです。

それについてもお話を伺ってみたかったので、改めて取材をさて頂くことにしました。

という訳で、乾さん、そもそもどうしてお弁当を作ろうと思ったんですか?

乾さんのお弁当
乾さん特製・てんてんしましま弁当【献立】
しましま三色ご飯:そぼろ卵、枝豆、モロヘイヤの麺つゆ和え
てんてん三色ボール:帆立青のり、鮭人参、とうきび
その他:パプリカのベーコンの黒胡椒炒め、きゅうり(皮しましま)とミニトマト(てんてん)のサラダ

もともとは暴飲暴食が祟って、2年前に医者から食餌療法を勧められたのがきっかけです。昔、ある人から

「食べることは生きること。環境やストレスからはなかなか逃れられないが、食べるものは自分で選べる。残りの人生を30年と考えて、食事は三食で32850回しかない」

と教えられました。8年前から飲食事業をはじめたのも良いきっかけでした。

だけど、それが途切れずに続いている理由はどこにあるのですか?

ポイントは、「何が何でも毎日やる!」と思わずに、作れない日はまあいっか、くらいのスタンスでいること。

なるほど…。

とはいえ、やっぱり好きじゃなきゃ続かないと思うのですが…?!

まんま、プラモデルやパズルを作るような感じでハマりました(笑)。 

BENTOって今や世界語になっていますが、箱庭や盆栽のような小宇宙も感じることができる日本文化だとも思います。

ちなみに本日の写真のお弁当は、「てんてんしましま」をテーマに作っていただいたものなんですが、実はこのお弁当は第2弾でして、1弾目は、なんか様子がおかしいぞ、、、ということで、残念ながら却下になってしまいました。

とってもおいしそうだったのですが、どうもいつもの「ヲジサン弁当」っぽくなかったんです。

なんでだろう、、、と思って率直に乾さんに伺ってみたところ

「そうなんです。自分でも納得いかないんです。なんか奇をてらいすぎました(泣)」

とのこと。

そこでわたくしは、「あーー!なるほど!!!」と激しく合点がいきました。

乾さんのお弁当って、使っている素材はシンプルで昔からよくあるものなのに、組み合わせ方がユニークで、パンチがあって、どこか新しい感じがするんです。

乾さんのお弁当

この3色弁当の枝豆なんて、枝豆自体は珍しくも何ともないですが、こうして並べるとプクプクとしていて、なんとかわいいのでしょうか(わたくしは3色弁当といったらドピンクのデンブを敷くことしか思い浮かびません…)。

なんでもないものを、ドラマチックにかえる。ありきたりのもので、日常を豊かに楽しむ。

わたくしが目指したいことそのものを、乾さんはお弁当で気負いなくやってのけていたんですね。

そしてお忙しいにも関わらず、わたくしのしょうもない提案に全力で向き合ってくれるこの懐の深さ。

どんなに些細なことでも馬鹿にせず、面白がって可能性を見いだしてくれるそのスタイルは、8年前のあの面接の時から変わっておらず、わたくしは、人生の要所要所でそんな乾さんに育ててもらっている気がします。

次はなにをしたら、「ボクはいいと思うけどなぁ〜」って言ってもらえるでしょうか。いや、まずは、見いだしてもらったからこそつながっている今の人生を、もっとちゃんと育てていかねば。

乾さん、いつもありがとうございます。またこれからも面白いこと、やりましょう。

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

(一部敬称略でご紹介させていただいております)

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「東京純豆腐」

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伝統と自由と一緒に、21世紀に着物を連れて行く!/「てんてんしましまを探して」第4回・東京/立川「着物りさいくる工房 五箇谷(ごかや)」オーナー・五箇谷桂子さん

「てんてんしましまを探して」 / ショップさん

「てんてんしましまを探して」第4回
【着物りさいくる工房 五箇谷(ごかや)/オーナー・五箇谷桂子さん】

五箇谷さん
オーナーの五箇谷桂子さん

こんにちは、バッグブランド Saori Mochizukiデザイナー&中目黒の雑貨店 Accent Colorオーナーの望月沙織です。梅雨が明けましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日ご紹介する五箇谷さんとのご縁のきっかけを作ってくださったのは、五箇谷さんのスタッフ・新井さんでした。

新井さんが「着物に持てるバッグを探しているけれど、持ち手の長さにこだわりがあるので実物を見てみたい」と、うちの百貨店イベントでバッグを買ってくださったのが最初の出会いでした。そしてとてもかっこよくうちのバッグを着物に合わせてくださっている様子を見て、一体どんなお店なんだろう、と興味がわいたのです。

どうやったら現代の生活の中で着物を楽しむことができるの?
着物って、格好いいから着てみたいけど、なんだか敷居が高そう。。。

そう思っている方は、必見のお店です。

ちなみに五箇谷さんは元々は普通の主婦だったそう。それがなぜ、着物のお店を始めるまでに至ったのでしょうか?

昔から着物が大好きで、最初は着付学院に通ってそこで着付けの先生になったんですが、上から言われることは「売上」のことばかり。先生としての評価も売上が全てでした。

あぁ、、、。着付学院にはありがちなイメージですね。

でも生徒さんは、家に眠っているおばあちゃんの着物を着てみたいと思って学校に来てくれている。それなのにこちらは新しい着物を買わせないといけないなんて、おかしいじゃないですか。それがそもそものきっかけでした。

そこから個人で着付けのお仕事をするようになり、その過程で、リーズナブルなリサイクル着物というものに出会う。

着物は高価!というイメージがありますが、買いやすい値段の着物を提供すれば、ハードルが下がって、みんながもっと気軽に着物を楽しめるようになるんじゃないかと思ったんです。

それと同時に、もう一つ五箇谷さんには伝えたいことがありました。

五箇谷さん

着物には、着る時期の決まり事など、ルールが一杯あります。それについて、正しいかどうか不安に思ってもなかなか聞ける人がいない。そんな時に私がお役に立てたらいいなと思うんです。

五箇谷さん

過去、着物がたどってきた歴史を振り返ってみても、着物がこれだけ洋服の中にさらされた時代はありません。そんな時代にはそんな時代の着方があってもいいと思います。帯揚げのかわりにスカーフを使ってもいいし、帯締めのかわりに靴ひもを使ってもいい。そういう着方をしてもいいんだよ、と(着物のことをきちんと勉強した背景のある)私みたいな人間が背中を押してあげると、また着物への間口が広がると思うんです。

かといって、しきたりを全てなくすのはいやだ、と五箇谷さんは言う。

伝統があっての今、だと思うから、なんでもかんでも好きにやる、っていうのは違うと思います。軸がないと次の世代に受け継いで行くことはできません。だからお客様から着付けを頼まれたら、まずはどういう場に着ていくのか、きちんと状況を伺うことから始めます。同じ結婚式でもカジュアルなレストランだったら少し崩してもいいかもしれませんが、格調高い場所で行われるようだったら、それなりのルールに則った着方をしないダメだと思うのです。

ところで、お店を続けていられる秘訣ってなんなんでしょう??(ブランド維持に必死なモチヅキ、興味津々)

お店を始めてから14年経ちますが、1人でやっているという感覚がないんです。始めたのがちょうど21世紀に突入する頃だったので、21世紀に着物を連れて行く!と思ってやってきましたが、本当に周囲の人に恵まれていて、私自身は、日々目の前のハードルを越えることに精一杯。いつ潰れてもおかしくないと思っています。

とはいえ、大きな責任も感じています。介護や子育てで一時的に着物から離れてしまう人もいる。そんな人が一段落して、ふとまた着物を着たいなと思ってうちの店を思い出してくれた時には、絶対にそこにいること!それはとても大切なことだと思っています。

それでいうと、五箇谷さんは現在2ヶ月に1度、ご自身が描く絵手紙をお客様に出し続けているそう。

五箇谷さん

かつては毎月出していました。それにカラーコピーって高かったでしょ。だから最初の頃は、縁取りの線だけ描いたものをモノクロコピーして、子供2人に色塗りを手伝ってもらってたんです。

・ ・・えっ?!全部手描きだったんですか?!

えぇ。700枚が限界でした。それを毎月、2年間。(笑)

しえーーーっ。。。(メルマガ書くの大変、とか、言ってる場合じゃないぞ、自分…)

…素晴らしい着物をもっと沢山の人に伝えたい!気軽に、お洋服を楽しむようにまとってもらいたい!その思いの深さを垣間みて、脱帽です。

ちなみに1枚目の写真で五箇谷さんが手にしているしましまのお着物、わたくし買っちゃいました!だって3千円ですよ!!これならもう惜しみなく着られる。今度はこれを着て、うちのバッグを持って、またお店に遊びに行こうかな。みなさんも、これを機に着物デビューしてみてはいかがでしょうか。五箇谷さんが親身になって相談にのってくださることと思います。

バッグブランド「Saori Mochizukiデザイナー
中目黒の雑貨屋「Accent Color」オーナー
望月沙織

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中目黒の雑貨店(Accent Color)は完全予約制の営業を終了して、2016年8月より毎週金&土の11−17時で通常営業しております。ご予約のないお客さまもご来店いただけますのでお気軽にブラリと遊びにいらしていただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。


 

Saori Mochizukiの水玉バッグ
Saori Mochizukiの水玉バッグ
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今、わたくしに一番足りないものを持っている人たち。/「てんてんしましまを探して」第3回・「Miutt(ミュート)」プロデューサー・中川信幸さん、デザイナー・榮川真帆さん

「てんてんしましまを探して」 / ブランド

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「てんてんしましまを探して」第3回
【Miutt(ミュート)プロデューサー・中川信幸さん、デザイナー榮川真帆さん】

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デザイナー・榮川さん

香港から戻ってきてこんにちは(香港、すばらしかったです!)、バッグデザイナーの望月沙織です。

今年の1月、わたくしは夢が1つ、叶いました。それは、憧れていたブランド、「Miutt(ミュート)」さんとイベントができたこと。

作りたいものだけを作り続けたり、売りたいものだけを売ろうとする(でもちゃんと売れない)人は、今までも沢山見てきたけれど、作りたいものだけを作って、売りたいようにきちんと売る人には、まだほとんど巡り会ったことがない。

その数少ないうちの1組が、「Miutt」の中川信幸さんと榮川真帆さんだ。

「Miutt」が仕掛けるイベントは、立地がいいのはもちろんのこと、売場全体の装飾も、気持ちがうきうきするようなとっても楽しい雰囲気で、お客として遊びに行った時、どうしてこんな売場が作れるんだろう、と心の底からうらやましく思った記憶がある。その秘密を、今回色々聞いてみた。

そもそも「Miutt」は、「東伸工業株式会社」という関西を拠点にしたインクジェットプリンターの会社が展開するブランドで、自社のプリント技術を存分に使った明るくカラフルな世界観を表現するオリジナルブランドだ。アイテムはシルクのスカーフといった定番的な商品から傘やレギンスなど、多岐にわたる。

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榮川さんおススメの「てんてんしましまグッズ」。Miutt人気商品のシルクポーチ(ポシェットにもなります)

そこに描かれるプリントの柄も、同じものを探し出すのが大変なほど沢山あるのだが、それをデザイナーの榮川さんが1人で全部描いているというから、びっくりする。そして更に言うと、榮川さんは専門的に絵を学んだ経験すらないというのだ。・・・これって、どっかの望月とよく似た話だけど(笑)、榮川さんの場合は、何がきっかけでこの業界に入ってきたのだろう・・・???

昔からファッションが好きだったけど、大学では心理学部に在籍していたので、就職活動でアパレルの企画部門を受けても、経験がないということで、採用されなかったんです。だから一旦はあきらめて、放送大学で事務の仕事をしていました。

でもそこに通ってくる、「私なんて、この歳になってもやりたいことだらけだよ!」という年配の方達の姿を見ていたら、「人生は1回キリなんだから、本当にやりたいことに挑戦した方がいいんじゃないか?!」と思うようになったんです。

そこから夜間の服飾学校に通いつつ、洋服の工場などでアルバイトを始めるようになる。加えて、ファッションの世界で生き抜いて行くために、オリジナルのプリント技術など、他の人にはない強みを持ちたい、と思い始めた時に、東伸工業の募集要項がたまたま目についたそう。

「そこで、門を叩いたら中川が出てきたんです(笑)」

・・・でも中川さん、経験がない榮川さんを採用した決め手は何だったんですか?!

あのねー、面接の時、大胆なチェック柄のスカートを履いていたのよ。他はよう覚えてない。でもその感覚が本当にいいな、と思ったの。

ちなみにね、望月さんの商品をrooms(アッシュペーフランス主催の国内の展示会。うちとMiuttさんはいつもこの展示会に出展していて、そこで知り合いました)で見た時も、榮川を見つけた時と同じ感覚を抱いた。インパクトがあって、記憶に強烈に残って、1年経っても忘れられなくて、1年後にまたroomsで再会して、やっと話ができたと思ったら、ずっと昔からの友達みたいに会話ができて、これは面白い、と思ったのよ。

なんとまあ、有難いお言葉。多分それは、わたくしと榮川さんが似たような道をたどっていたから、共感する部分が多くて話が弾んだのかな、と思うけれど、いずれにしてもそのカンを信じて引っ張り上げてくれた中川さんにはただただ感謝で、以来わたくしは心密かにものすごく頼りにしている。

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2014年1月に参加させていただいたイベント・阪急うめだ本店「カラーフル」/東伸工業さんのプリントで装飾を作り込んでいただきました

ところで実はスタッフ採用の際、最後の最後で榮川さんともう1人迷った人物がいたそう。その人は経験は申し分なく、総合力でいったら圧勝だった。それでも中川さんは、榮川さんの「チェックのスカート」を選んだ。

そんな入社後、初めて榮川さんがあげてきた柄が、「宇宙戦争」と「クモ」の柄だったそう。

普通プリント柄っていったら、花柄とかそういうもんかと思うでしょ(笑)。それなのに、宇宙とクモやで。でも新しいことをやるにはそれくらいの方が面白いと思ったのよ。

そしてその柄は当時5億円規模のとあるブランドの目にすぐとまり、採用される。いまやそのブランドは20億円規模に成長し、柄は100%榮川さんのデザインだそう!!!

・・・普通はやらないものしかやりたくないし、そこを俺が100%フォローできればいいだけのこと、と中川さんはさらりと言うけれど、「普通じゃないもの」は、「普通じゃない」だけに、そう簡単には売れない。その壁にぶち当たり、脱落していくデザイナーは大勢いる。わたくし自身も、今さんざんもがいているからよくわかる。

じゃあ一体何がポイントなんだろう、と思って聞いてみると、いくつかこたえが返ってきた。

1つは、モノの作り方を知っていること。
もう1つは、モノを作ってくれる人にきちんと頼むこと。
そして、それを売れる売場を作ること。

「もうねー俺だって不安だよー」と中川さんははにかみながら言うけれど、それでも責任を一身に背負って、それをやってのける中川さんは本当に凄いと思う。そしてそこに挑むように、次々に柄を生み出す榮川さん。そんな、時に掛け合い漫才をしているような2人の姿は、ハタで見ていて本当にうらやましくて仕方がない。

私たちは身近な人を幸せにしたいと思ってモノをつくっている。望月さんが日常をドラマチックにしたいと思うのと同じように、私たちは日常を笑いにしたいから、イラストに自分の似顔絵を潜ませたり、くすっと笑える部分を仕込んでいる。そして、そうやって語れるストーリーがきちんと存在するかどうかは、やっぱり売る時にはとても重要だと思うんです。

ううう。分かっているけど、そこが難しいんです。「やりたい放題やってるでー」と中川さんは笑うけど、コストバランスをとりながらモノを作るのは本当に難しいし、職人さんに自分のやりたいことを理解してもらうのも本当に大変。なにより、売れる売場って、どうやったら作れるのっ?!?!?!

中川さんと榮川さんの言葉の中には、一杯の愛情が詰まっていて、簡単にできるようで、できない努力も詰まっていて、、、どうしたらわたくしもそうできるのか、まだわからないことが山のようにあるんだけど、だからこそ、、、全力で追いかけますので、どうぞこれからもこのテンテンシマシマをよろしくお願いします!

ちなみに中川さんの写真をとろうとしたら、いややーと逃げられました。どうやらわたくしの周りには写真嫌いの人が多いみたいです…笑。

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

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【Miutt(ミュート)】
お問合せは東伸工業株式会社 インクジェットプリント事業部まで

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