会場のコーヒーショップ CoCo Espresso 701。立地もさることながら、建物の7階というへんぴな所にあるにもかかわらず、老若男女のお客さんがひっきりなしに来店するのでビックリしました。聞けば、オーナーが香港コーヒー界の有名人だそうです。そしてそれ以上にビックリしたのが、貸切スペースのお客さんも、ふらり来店のお客さんも、お互いに煙たがる風でもなく、自然に共存していたこと。うちのバッグも、単純にランチを食べに来たおばちゃんが買って行ってくれたりしました。
こんにちは、バッグブランドSaori Mochizukiのデザイナー & Accent Colorのオーナー、望月沙織です。
わたくしは先週香港でポップアップショップを開催してきました。
香港のお取引先のお店、小時光(Xiaoshiguang)さんの2周年記念イベントの会場の一角にスペースをいただいたのです。
2月に営業に行った時に「3月にこんなイベントがあるけど、来る??」と言われ、わたくしもあんまり深いことを考えずに「行く行く!」と言ってしまったもんだから、一体どんなことになるのか全然予想がつかなかったのですが、行く前に送った商品の売れ行きが好調だったので、ワクワクしながら伺いました。
会場は、香港の、言ってみれば郊外のような場所でしょうか。
東京の町田出身で、八王子にある学校に通っていたわたくしから言わせれば、「こんなのはずれのうちに入らん!」という距離でしたが(笑。地下鉄とタクシーで、中心地から40、50分くらいでしょうか)、ネイティヴの人に言わせると、ものすごくへんぴな所だそうで、でも最近ではおしゃれとされている、インダストリアルエリアの工業団地のような建物の中にあるスタイリッシュなカフェで開催されました。
会場には、次から次へとファッショナブルな人が現れ圧倒されました。
なんて言うんでしょうか、50年代の古い映画の女優さんみたいに、クラシックで、でもちょっと華やかで、非日常的な感じのファッションがとても美しいのです。そして誰もがとても個性的でその人らしい雰囲気をまとっているのです。
(話しは少々飛びますが)先日、日本でドレスショップを経営している仲の良い知人と話しをした時に、
「お客さんにはよく、『普段にも仕事にもパーティにも使えて、派手すぎず地味すぎず、着回しのきくドレスはないか』って言われるんだけど、そんな都合のいいものはない!でも仕方がないのよ、今の日本人はお金持ってないから」
と言われて、そうかぁ、、、日本は今、ファッションにおいて「(お金をかけない)着まわし」が重要なのか、、、と改めて思い、ふと自分を振り返ってみると、なんとなくそんな感じのお洋服になってしまっていることに気がついて、少々悲しくなってしまいました。
忙しい日常を過ごしていると、オンとオフの境目がわからなくなるし、境目をつけずにどちらかに突入せざるを得なかったりします。
そうすると、どうしたってどっちにも通用する、もしくは切り替えが簡単にできることが最重要ポイントになってきて、うちの、コサージュが取り外せるバッグなんかはまさにその最たるものだと思うんですが、今の香港だとそれは少々中途半端になってしまう雰囲気もあり、改めてファッションについて考えさせられました。
もしかしたら、きっちりと線を引き、華美に着飾る時と、猛烈に仕事をする時と、区別して考えた方が、アイテム的にもよりそれぞれに「機能的」なのかもしれません(例えて言うなら、リンスインシャンプーよりも、ちゃんと別々のものを使った方が、手間だけど結果的には髪には良い、みたいな感じ、でしょうか)。
とはいえ、オンとオフ、きっちり線を引くのが難しいというのも(今の自分がそうだから)よくわかります。
だけと、香港のお客さんをみて、ちゃんとおしゃれをする、っていうのはいいことだなぁと感じてしまったわたくしもいます。
という訳で、改めて、バッグを通してどういう生き方を提案できるのか、考えさせられた今回の香港の旅でした。
さて、これを受けて、うちのブランドはどう発展していくのでしょうか。
またしばしあれこれ悩むと思います。ぽこん、と何か、うみだせるといいのですが。
どうぞ今後のSaori Mochizukiにご期待くださいませ(と、自分で自分にプレッシャーをかけてみた)。
バッグブランド「Saori Mochizuki」デザイナー
セレクトショップ「Accent Color」オーナー
望月沙織
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