年別:2014年

質のいいものを、末永く、より輝かせることができる人/「てんてんしましまを探して」第9回・福岡「カラフルブティックモア」オーナー・平田マドカさん

「てんてんしましまを探して」 / ショップさん / 雑貨屋さん

「てんてんしましまを探して」は、毎週木曜正午更新
てんてん(水玉)しましま(ボーダー&ストライプ)のかわいいアイテム、そこに携わる人々の思いをバッグブランドSaori Mochizukiのデザイナー・望月沙織がつづります。企画詳細についてはこちらをご覧ください。

こんにちは、水玉とストライプ&ボーダーのバッグデザイナー・望月沙織です。

さて、今週からしばらく「てんてんしましまを探して」は九州・福岡特集になります。どういう訳かご縁があって、2014年は福岡づいているSaori Mochizuki(その理由は追々明かします)。そのトップバッターは、福岡・中央区にあります「カラフルブテティック モア」さんになります。

今年の3月、わたくしが初めて福岡に上陸した際、どこか素敵なお店はないかなーと探して尋ねたのが最初の出会いです。その時撮影部長にお土産で買っていった腕時計が本人にも周囲にも大変好評で、以来また機会があったら遊びにいきたいな、と思っていたお店の一つです。

その「モア」のオーナー、平田マドカさんに、どうして古着なの?古着の魅力って何??などなど伺ってみました。

カラフルブティックモア

オーナー・平田マドカさん

そもそもお店を始めたきっかけは何だったんですか??

平田マドカさん(以下<平>)
きっかけは、ここの物件が決まったからなんです(笑)。もともとお店はやりたいと思っていて、店舗の物件を見るのが好きだったので、暇つぶしに見ていたら、ここの物件が出ていたんです。人気の場所で他にも引き合いがたくさんあるからということで、とりあえず申し込みだけしておいて、決まったらやればいいか、と思っていたら、その日の夕方に「決まりました」との連絡が来ました。60年ものの普通の民家だったけど、好きに改装していいと言われたし、主人も「ずっとやりたかったんでしょ」と背中を押してくれたから、8月末に契約して、4ヶ月間会社員をしながら改装・準備をして、12月にオープンさせました。

ということは、前職は会社員だったんですね?

<平>
最初は福岡のアクセサリーブランド「ミハエルネグリン」にいました。その後上京して古着屋で働いたりしていましたが、福岡に戻ってきてしばらくして、ミハエルネグリンの社長から声がかかり、福岡VIOROの中に新しくオープンするミハエルネグリン直営店に店長として4年間在籍してました。

だから仕入先も貯金も何もない中で始めました。(仕入れ先は)自分が好きなものを行き当たりばったりで頼んでいったけど、ロット数が大きすぎて無理だった所以外はほとんど取引してもらえました。でもやりながら揃えていったので、オープンしてから2-3ヶ月してやっと店内が揃った感じでした。

カラフルブティックモア

アトランタのドールハウスのデザイナーが手掛けるハンドメイドウォッチブランド「FUN WATCHES」。わたくしは3月に、文字盤にカメラとフィルムが入ったデザインを見つけて撮影部長用にゲットしました。その時はベルトの色を選べるフェアをやっていたので、ゴールド(笑!)を選びました。残念ながら今回の入荷分でお取り扱いは終了になってしまうそうです。詳しくはモアさんのブログで。

仕入れ商品やハンドメイド作家さんのアイテムと平行して、古着など、ヴィンテージアイテムを扱ってらっしゃいますが、古着はなぜお好きなんですか?

<平>
私は、ロリータからパンクに至るまで、とにかく色んなファションをやったけど、最後にたどり着いたのが古着でした。古着はモノがいいのと、低価格で個性的なファッションができるのが良いところです。元々が古いから、流行もあまりないですし。今、そういうのを実現させようとすると、プレタ(プレタポルテのお洋服・・・オートクチュール(=オーダーメイド)を、量産向けに改作した高級既製服)で、5-6万円のお洋服、とかになってしまうけど、それが(その金額よりも)低価格で実現できるのが古着だと思っています。

ちなみに古着はどこから買い付けてきているんですか?

<平>
毎年海外で1ヶ月間くらいかけて買い付けをしてきます。渡航先はフランス・イギリス・ドイツ・イタリア・オランダなど。フランスをメインに、毎年国を開拓して増やしている感じです。(経費を押さえるために)安い宿に泊まるんですが、宿の状態も、本当に良い古着に出会えるかどうかも、実際に行ってみないと分からないので、リスクがとても高いです。長々とお店をあけて行くので、お客さんに対するプレッシャーもありますし。

そうですよね。カタログを見ながら型番で注文できる既製品と違って、良い古着を探すのって、大変ですよね。

<平>
海外は「古いものはいいもの」という概念があるけれど、日本は消費社会で、使い捨て文化。だから海外では(古着は)ぼろぼろのものでも値段が高いのに対して、日本ではすごく質のいいものが「古いから」という理由で安く扱われてしまっています。そういうのはとても悲しいんですが、大量生産品との比較もあるし、その辺りのバランスが難しいです。これはハンドメイドの作家さんにも言えることで、うちでお取引のある作家さんはみんな腰が低くて、自分がつけた値段を「高すぎる??」と心配して聞いてきたりするんですよ。でもちゃんとしたものはちゃんとした価格で売りたいから、「もっと高い値段をつけて売っても良いんですよ」と言う時もあります。

なるほど。日本だと、なかなか古着の価値を見いだしてもらいにくいんですね。その落差を一生懸命、丁寧に埋めているのが「モア」であり、平田さんなのだ。

カラフルブテイィックモア

では平田さんにとって「良い古着」ってどういうものなんでしょう?何を基準に仕入れる・仕入れないを決めているんですか?

<平>
大前提は、テイストとデザイン。その中でもこだわっているポイントは色(カラフル)、柄(水玉、チェック、ストライプ。「ボーダーはみんな着ているし、私が着ないので入れない…」と言いながら、ボーダーのスカートを履く目の前のモチヅキに気づき「あっ、すみません、、」とはにかむ平田さん。かわゆいです)。

あとはシルエットとサイズ感(かわいいけど、日本人には大きすぎる、など)。それをふまえた上で、状態が良いかどうかを見極めます(きれいなもの、もしくは、状態が悪くても直しがきくものかどうか)。

オープン当初は、あれもこれも仕入れていました。それこそ「安いからとりあえず買っとくか」みたいに。でもそういうものはずーっと売れ残ってしまうんです。そういうものを毎日見ていると悲しくなるし、お客様にしてみても、高くても良いものが欲しいから、セールをしても売れないんです。

だから自分の気持ちが納得するものを仕入れるようにして「売れそうだけど嫌かも」と感じるものは、入れないことにしました。

ファストファッションは全否定しませんが、値段で買うと結局着ないんですよ。そういう着ないけどノリで買ったもの、安いから買ったものは2年くらい前にガレージセールで全部売り払いました。以来(自分の私物も)本当に使うかどうか、考えてから買うようになりました。

確かにな…。うちの場合は生地ですが、安いから多めに買っとけ!と思って買ったヤツは、いつまでたっても「多め」のまま、減らない…。

ちなみに今、お店にスタッフさんがいらっしゃいますよね?(取材の申し込みの際、スタッフさんからもご連絡を頂きました) それはどういうご縁で採用に至ったのですか??

<平>
3年間は1人でやっていました。そんな中、お直しできる人がお店に居座り続けたので、じゃあしょうがないな、と、4年目から本格的に雇うようになりました。新しい方法ですよね、居座るって(笑)。

彼女は20代前半から通っていたモッズや60sの音楽イベントで知り合った人です。今は商品出しや(リメイクの)オリジナル商品を作ってもらっています。古着は、厳選して状態の良いものを選んで来たつもりでも、店頭に出す前に改めて確認してみると、(シミや傷が見つかる)ロス商品は必ず出てしまうので、それをリメイクして状態をよくして売っているんですが、彼女はそれをお金をかけずに「家の冷蔵庫で何かを作るタイプ」なんですよ。

それまでは毎日夜中まで残って仕事をやっていましたが、彼女が来てくれるようになって、だいぶ楽になりました。自分よりも上手くできる人にやってもらって自分の時間が増える方がいいと思いました。そのおかげで出張とか、蚤の市出店とかへ、お店を閉めずに行けるようになりました。

ところで、お店の入口に「着付け出張」って書いてあるんですけど、着付けもできるんですか?

<平>
そうなんです、着付けの仕事もしています。もともとアンティークの着物が好きで、友達と着物イベントをやったりしていたのをきっかけに、本格的に着付けを勉強して、1年経たないくらいで師範の免許がとれたんです。着物って言うと、「自分の体にあったもの(自分用に1からあつらえたもの)を着ないなんて!」とか、敷居の高いことを言われちゃいますが、そういうのではなく、趣味でリサイクルで買ったものを着られるようにしたいと思ってやっています。

カラフルブティックモア

半襟とか、帯締めとか、あわせ方がものすごくキュート!「自分の私物でアレンジしてるだけなので〜」と謙遜されてましたが、さすがのセンスです。これ着たい。

おぉ!これは、先日お話を伺った五箇谷さんと一緒で思わず嬉しくなりました。わたくしも、良いものが変なプライドやお金儲け主義の犠牲になって、廃れていってしまうのは忍びないと感じています。そういうのを「もっと気軽に楽しんでいいんだよ!」とその道のプロに言ってもらえるのはすごく自信につながります。

<平>
それと私、今、ちんどん屋もやってるんです。

!!!!…..!!!! どういうことですか?!

<平>
古き良きもの、という流れで、ちんどん屋に興味がわいて、ここ10年くらいずっとちんどん屋のイベントを観に行ったりしていました。その縁で福岡でちんどん屋をやっている人と仲良くなって、「生まれ変わったらちんどん屋をやりたい!」って言い続けていたら、「今世でやれ!」と誘われて(笑)、福岡のキャナルシティでお正月の5日間「セールやってるよー!」っていうにぎわしをやったらすごく楽しかったんです。着物も着ますしね。

それでハマったと…!でも確かに、ちんどん屋って「売る」ための仕事です。そう思うと、すごい存在です。わたくしは毎日毎日どうしたら自分のブランドのネットショップが売れるのか考えて実行してますが、それもある意味、「ちんどん屋」的仕事ですよね。

<平>
ちんどん屋って、「ちんどん屋みたいな格好して!」と、「ド派手でしっちゃかめっちゃか」の代名詞みたいに言われるけれど、実は色んな楽器が弾けたり、何でもできるすごい人達なんですよ。私は、レトロな着物を着て、お洒落でPOPなちんどん屋を目指したいんです。ゆくゆくはバンドみたいにして、ちんどん界のイメージを払拭したいと思ってます。

そういいながら、レトロモダンな水玉の着物を着て、ゴロス(大太鼓)を叩いている平田さんのちんどん屋の様子を動画でみせてもらったのですが、これがまためちゃくちゃキュートでかわいいんですよ。うちのバッグを売る時に、何か一緒にできないかって真剣に考えてしまった程です(現在も絶賛考え中。何か良い案あったら教えてください)。

<平>
やっと生涯の仕事を見つけたって感じがします。雇われていると先が見えないじゃないですか。天神で働いていた時は何をしてたんだろう、、、って思うくらい、(仕事を通して)友達ができなかった。もちろん顧客の育て方などは勉強になったけど、(今の仕事を始めてからの方が)人のつながりが増えました。

ちなみにお店を続けられた理由はどこにあると思いますか?

<平>
それはもう全部お客さんのおかげです。うちは「出会い系モア」と呼ばれているけれど、モアを通じてお客さん同士が仲良くなるんですよ。モノを売るというよりは人とモノを、人と人をつなげる役割をしていて、そういうところを楽しいって思ってもらえているのかな、と思います。

それで言うと実は、平田さんのお知り合いが、わたくしの知人とも知り合いだったということが判明して、びっくりしてたところなんです。そうやって人の輪が広がっていくのって、本当にすごいことだし、狙ってできるものでもないので、大切にしたいな、と思います。

カラフルブティックモア

ヴィンテージのアクセサリーも多種並ぶ。どれもこれも、一瞬新品と見まごう程きれいに磨かれてます。

では最後に、将来の目標とか、伺えますか?

<平>
目標は、「モア」というブランドとして確立したいんです。「モア」に商品を置きたいんだ!と思ってもらえるようにして行きたいです。

あとは、リメイクとかでオリジナルブランド的な商品も作りたいと思ってます。実はこの帽子(写真↑:左上のリボンがついた赤い帽子)も、柄はかわいいんだけど、サイズ的に使い勝手が悪かったスカーフを、リメイクして作ったんです。色違いはもう売れてしまいました。それと去年くらいからオリジナルタグを作って、買い付けてきた古着にもつけているんですよ。よくお客さんには「えっ?これってモアが作った商品?」ってびっくりされるんですが(笑)、それは(下手なものを売れないぞという)自分たちへの戒めでもあります。

使えそうにないけれど、でも可愛い柄を生かして上げたいと手をかけるその愛情。スカーフもお客さんも、嬉しいですよね、きっと。

・・・実はお店を始めるにあたっての最大のキーマン=「やったら良いじゃん」と背中を押してくれたダンナさんのことなど、まだまだ実は沢山素敵なお話を伺いましたが、それはまたいつか別の機会にご紹介したいと思います。

また福岡に行った際には、お店に遊びに伺いますね。そしてお近くにお住まいの方、お住まいじゃないけれど、これから福岡に遊びにいかれる方、是非立ち寄ってみてください。平田さん、どうもありがとうございました。

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

(一部敬称略でご紹介させていただいている場合がございます。ご了承ください)
(掲載されている商品詳細は、直接お店にお問合せ下さい)

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今日の記事でご紹介したお店・ブランド・商品・人物の情報はこちら

カラフルブティックモア 公式サイト

ちなみに9月25日(木)に浅草で開催されるちんどん屋のイベントに出演されるそうです。なんとタイムリー!!わたくしは伺うつもりでおります。皆さんもご一緒にいかがですか??

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頑固 vs 柔軟

Saori Mochizukiの日常 / Saori Mochizukiの飼い猫・てん

水玉とボーダー・ストライプのバッグブランド Saori Mochizukiの部営業副部長のてん(ねこ)

こんにちは、水玉とストライプ・ボーダーのバッグデザイナー、望月沙織です。

全米オープンの錦織くん、体力出し切った!って感じでしたね。

NHKには、なんで決勝戦の生放送がないんだと苦情が殺到したそう。そして急遽WOWOWから放映権を買って、午後から録画で放映を決めたそう。

「さっさと負けてしまったワールドカップを流したのに、なんで歴史的なこの試合を放映しないんだ」なんて意見もあったそうですが、うーん、なんだか色々難しいですね。

例えばNHKが、「うちは誰に何と言われようと、ワールドカップは毎年決勝戦まで欠かさず流すんだ!」と決めて本当に実行していたら、↑みたいな文句は言われずに済んだかもしれません。

また逆に、「テニスなんて、意地でも放送しません。絶対に」とかたくなな姿勢を貫いて何十年、とかだったら、今回も放送されなくても、「まあ、あの局の哲学だったら仕方がないよね」ってなっていたかもしれません。

いずれも視聴者があってのことなので、強硬なこだわりを示すことは難しいかもしれませんが、あまりにも視聴率や評判に振り回されてぶんぶんしすぎていると、こういう時に総攻撃を受けちゃうのかもしれません。

とはいえ、スポーツはねぇ。。。にわかファンほどこういう時にごたごた言うでしょうし、局側も、ある程度予想を立てていてもドラマチックなことが沢山起こるから難しいですよね。

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

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省エネ失敗

Saori Mochizukiの日常 / Saori Mochizukiの飼い猫・てん

水玉とボーダー・ストライプのバッグブランド Saori Mochizukiの部営業副部長のてん(ねこ)

こんにちは、水玉とストライプ・ボーダーのバッグデザイナー、望月沙織です。

やられました。対策失敗。あーあ(涙)。

(なんのこと?と思った方はこちらをご参照ください)

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

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接客とは。

Saori MochizukiのWebショップ

Saori Mochizuki サオリモチヅキ 望月沙織 水玉 バッグ ストライプ ボーダー リボン ドット

こんにちは、水玉とストライプ・ボーダーのバッグデザイナー、望月沙織です。

とある日のニコタマデパ地下にて。

ケーキを買って、お会計を待っていると、とても神経質そうなお客さんが、普通のロールケーキとイチゴのロールケーキは何が違うのかとしつこく聞いていました。

「見ればわかるよ〜イチゴがあるかないかだよ〜」と思いながらぼんやり様子を伺っていると、店員さんはおもむろにそのお客さんに向かって試食を切り分けて渡したのです。

え==??それって、ずるくない?お金払って待ってるわたくしは何にももらってないんだけど?!と思い、ワザとらしくじーーっと意地汚い視線を送ってみましたが、なんにも出てこない。。。

結局その神経質なお客さんは、ぺろりと食べるだけ食べて、どこかに消えていってしまいました。

接客って、こういう時にどうやってその場を切り盛りできるか、ってことのような気がするんですが、どうなんでしょうね。

ちなみにうちの商品は、商品名を聞いただけではどんなバッグか想像するのが難しいので、ネットショップでは必ず解説的キャッチフレーズと一緒にご紹介しています(キャッチフレーズ:ビニール加工バッグ/商品名:スピンオフ、みたいな感じです。

これもわたくしの中では「接客」だと思ってます。

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

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