日常を楽しむ天才が語る「弁当は小宇宙」/「てんてんしましまを探して」第5回・ブラスアンドカンパニー株式会社・乾宏司さん
「てんてんしましまを探して」は、毎週木曜正午更新。
てんてん(水玉)しましま(ボーダー&ストライプ)のかわいいアイテム、そこに携わる人々の思いをSaori Mochizukiのデザイナー・望月沙織がつづります。
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「てんてんしましまを探して」第5回
ブラスアンドカンパニー株式会社/乾宏司(いぬい こうじ)さん
こんにちは、水玉とボーダー&ストライプのバッグデザイナー・望月沙織です。明日から8月。あせります…。
さて本日ご紹介する乾さんは、ブラスアンドカンパニーという会社で「東京純豆腐」などの飲食事業に携わっていらっしゃる方です。
その肩書きだけをみると「???」と思われるかもしれませんが、実はわたくしが一番最初に乾さんにお会いしたのは、遡ること8年前、まだハンドメイド作家だった頃に、雑貨店「アリヴェデパール」に売込みに行った時でした。
当時アリヴェデパールは、ブラスアンドカンパニーの中の1事業部でした(現在は独立して株式会社アリヴェデパール)。
そこへ、忘れもしない、真夏の暑い日、スーツケースに自作の雑貨を詰め込んで、ドキドキしながら営業へ行き、お店のバックヤードで待っていたわたくしの目の前に現れたのが、当時プロデューサーとしてアリヴェデパールを担当されていたマツドアケミさんと、飲食事業部とアリヴェデパール事業部を兼任で担当されていた乾さんでした。
びしびしとわたくしの商品に厳しいダメ出しをするマツドさんの傍らで、「そうかな〜ボクはいいと思うけどなぁ〜」とつぶやいていた乾さんの姿に、すがるような目を向けていたあの日のわたくし…(笑)。
その時のお2人の愛情あるご指摘と、その厳しいオーディションを経てアリヴェデパールで商品を販売していただけるようになった実績は、現在のわたくしを語る上では欠くとこのできない大きなマイルストーンとなっています。
そんな乾さんがこの「てんてんしましまを探して」に登場してくださることになったのは、第1回目の+flower、齋藤さんの記事がきっかけでした。
アリヴェデパール時代、齋藤さんの上司だった乾さんは、そもそも「+flower」の名付け親だそうで(初耳でした!)、「よくあの齋藤が取材を受けたよね」と珍しがってくれました。それで調子に乗ったわたくしは「では乾さんも!」とお声がけさせていただいたのです。
というのも実は乾さん、とっても素敵な「弁当ヲジサン」でして、日々facobookに素晴らしいお手製弁当の写真をアップされているのです。
それについてもお話を伺ってみたかったので、改めて取材をさて頂くことにしました。
という訳で、乾さん、そもそもどうしてお弁当を作ろうと思ったんですか?
乾さん特製・てんてんしましま弁当【献立】
しましま三色ご飯:そぼろ卵、枝豆、モロヘイヤの麺つゆ和え
てんてん三色ボール:帆立青のり、鮭人参、とうきび
その他:パプリカのベーコンの黒胡椒炒め、きゅうり(皮しましま)とミニトマト(てんてん)のサラダ
もともとは暴飲暴食が祟って、2年前に医者から食餌療法を勧められたのがきっかけです。昔、ある人から
「食べることは生きること。環境やストレスからはなかなか逃れられないが、食べるものは自分で選べる。残りの人生を30年と考えて、食事は三食で32850回しかない」
と教えられました。8年前から飲食事業をはじめたのも良いきっかけでした。
だけど、それが途切れずに続いている理由はどこにあるのですか?
ポイントは、「何が何でも毎日やる!」と思わずに、作れない日はまあいっか、くらいのスタンスでいること。
なるほど…。
とはいえ、やっぱり好きじゃなきゃ続かないと思うのですが…?!
まんま、プラモデルやパズルを作るような感じでハマりました(笑)。
BENTOって今や世界語になっていますが、箱庭や盆栽のような小宇宙も感じることができる日本文化だとも思います。
ちなみに本日の写真のお弁当は、「てんてんしましま」をテーマに作っていただいたものなんですが、実はこのお弁当は第2弾でして、1弾目は、なんか様子がおかしいぞ、、、ということで、残念ながら却下になってしまいました。
とってもおいしそうだったのですが、どうもいつもの「ヲジサン弁当」っぽくなかったんです。
なんでだろう、、、と思って率直に乾さんに伺ってみたところ
「そうなんです。自分でも納得いかないんです。なんか奇をてらいすぎました(泣)」
とのこと。
そこでわたくしは、「あーー!なるほど!!!」と激しく合点がいきました。
乾さんのお弁当って、使っている素材はシンプルで昔からよくあるものなのに、組み合わせ方がユニークで、パンチがあって、どこか新しい感じがするんです。
この3色弁当の枝豆なんて、枝豆自体は珍しくも何ともないですが、こうして並べるとプクプクとしていて、なんとかわいいのでしょうか(わたくしは3色弁当といったらドピンクのデンブを敷くことしか思い浮かびません…)。
なんでもないものを、ドラマチックにかえる。ありきたりのもので、日常を豊かに楽しむ。
わたくしが目指したいことそのものを、乾さんはお弁当で気負いなくやってのけていたんですね。
そしてお忙しいにも関わらず、わたくしのしょうもない提案に全力で向き合ってくれるこの懐の深さ。
どんなに些細なことでも馬鹿にせず、面白がって可能性を見いだしてくれるそのスタイルは、8年前のあの面接の時から変わっておらず、わたくしは、人生の要所要所でそんな乾さんに育ててもらっている気がします。
次はなにをしたら、「ボクはいいと思うけどなぁ〜」って言ってもらえるでしょうか。いや、まずは、見いだしてもらったからこそつながっている今の人生を、もっとちゃんと育てていかねば。
乾さん、いつもありがとうございます。またこれからも面白いこと、やりましょう。
(一部敬称略でご紹介させていただいております)
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