日米のバイヤーさんの違いについて【海外売込み奮闘記・ニューヨーク・ヘンリベンデル編 vol.3】

Saori Mochizukiの商品

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(こちらの記事は、2014年7月6日に公開されたものを2017年1月に加筆・修正したものになります)

 

目次
【海外売込み奮闘記・ニューヨーク・ヘンリベンデル編 vol.1】
【海外売込み奮闘記・ニューヨーク・ヘンリベンデル編 vol.2】

【海外売込み奮闘記・ニューヨーク・ヘンリベンデル編 vol.4】

 

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【海外売込み奮闘記・ニューヨーク・ヘンリベンデル編 vol.3】
日本とは違うアメリカのバイヤー

 

こんにちは、バッグブランド Saori Mochizuki デザイナー&中目黒の雑貨屋 Accent Color オーナーの望月沙織です。

 

NY売込奮闘記の第3回目の今日は、わたくしが突撃した「ヘンリベンデル」というデパートと、そこが開催している新人デザイナー発掘オーディション「Open See(オープンシー)」についてお話ししたいと思います。

 

ヘンリベンデルの創業は19世紀後半の1895年。

 

江戸時代の呉服屋にルーツを持つ日本の百貨店諸々から考えると少々若い印象がありますが、創業者のH.ベンデルは、アメリカにシャネルを初めて紹介した人物として有名です。

 

そして、そういった精神(新しいデザイナーを発掘する)を忘れないようにしよう!というコンセプトの下、当時年2回開催されていたのが「オープンシー」というオーディションでした。

 

(かつては毎週金曜に開催されていたようです。また、今年も開催されているのかもしれませんが、2014年6月現在ヘンリベンデルの公式サイト上http://www.henribendel.comでは情報が確認できないので、今年の10月に開催されるのかどうかは定かではありません→残念ながら2017年1月現在も確認できませんでした)

 

オープンシーは読んで字のごとく(Open See)で、指定された日時に指定された場所に並ぶと、どこの誰であろうと、実際にきちんとバイイングの権限を持つヘンリベンデルのバイヤーさんが、先着順で商品を見てくれます。

 

(ただしアイテムに制限あり。2012年10月当時の募集アイテムは、靴・帽子・バッグ・アクセサリー・化粧品(香水を含む)等で、不思議なことにお洋服は受け付けていませんでした)

 

そしてお眼鏡にかなうと、まずは「トランクショー」という1-2週間限定の催事のようなイベントを店内で組んでもらえるのです。

 

実際これをきっかけにして世界に羽ばたいたデザイナーは少なくなく、有名なところでは「アナスイ」http://www.annasui.co.jpや、最近日本でもよく見かけるヘアアクセサリーブランド「コレットマルーフ」http://www.colettemalouf.jpなどはオープンシーの出身だと言われています。

 

でもこれって、冷静に考えると本当に凄いことです。

 

伊勢丹だろうと高島屋だろうと、日本でこんなことをやっている有名百貨店をわたくしは今までみたことがありません。

 

でもそこがとてもアメリカらしい部分というか、どんな人間でも、まずは会ってみてから考える、というところがあります。

 

【ニューヨークの商談の勝負は30秒で決まる】

 

 

日本の場合は、まず決定権を持つバイヤーさんにたどり着くのがとても大変な印象があります。

 

ツテをたどって紹介してもらったり、何度も何度も粘り強くアプローチしてやっと興味を持ってもらえたり、1コマ何十万円もする展示会にブースを構えてやっと名刺を手に入れることができる。

 

しかしひとたびたどり着いてしまうと、あとはするする~っと商談が成立してしまうようなところがあります。

 

アメリカの場合はそこが逆で、とりあえず誰でもWelcomeで会ってはくれるけど、会ってもらった後に、そのバイヤーさんの牙城を崩すのが本当に難しい。

 

沢山の人に会うので、判断の時間もとても短く、オープンシーでも1デザイナーに割り当てられる時間は長くても1分程度。

 

というか、バイヤーさんはそれくらいあれば十分みたいで、わたくしも、自分が喋れたのは冒頭10秒もなく、その後トータル30秒ほどでうちのブランドのターゲット層等をぴたりと言い当てたのでびっくりした記憶があります。

 

また「後日持ち帰って」なんてことはまずなく、トランクショーをお願いしたいデザイナーにはオープンシーのその場で握手をして話が成立します。

 

日本式とアメリカ式、どちらのやり方がいいかは何とも言えません。

 

もともと島国で、他人が入り込んできにくい文化だった日本では、素性をよく知る「顔見知り」をたどっていくやり方の方がむしろ合理的でしょうし、かたや次から次へと知らない人が集まってくるアメリカでは、やりたくても日本的なやり方が成立しにくく、結局片っ端から会っていくしかない、ということでもあると思います。

 

どちらにしたって実力は必要で、最終的にはどちらのやり方が自分に向いているかということだと思いますが、少なくともアメリカで売り込む場合は、日本のように「まず1回目は顔合わせ」みたいな悠長なことは言っていられないので、それ相応の戦い方で挑む必要があります。

 

オープンシーに挑戦するにあたって、まず一番最初にわたくしが強く意識した部分はその点で、それに沿っていろいろと準備をしていきました。

 

という訳で、次回は

 

・では具体的にどんな準備をして挑めばいいの?
・その情報はどこから集めたの?

 

という話をしたいと思います。

 

ちなみに皆さんがこの記事を読んでいる今頃わたくしは、香港で展示会のセッティングをちょうど終えた頃だと思います。さて、どんな結果が待っているかな…?!?!

 

また来週も引き続きよろしくお願い致します。望月でした。

 

*****

 

(2017年1月19日追加)
アメリカのバイヤーさんみんながみんな、訪ねていけば片っ端から会ってくれる訳ではないと思うのですが、少なくとも、日本のように「伝書鳩」的な人が少ないのは事実だと思います。

 

そしてそれは仕事の効率を高めるポイントだと思います。

 

CM制作時代、とある大手メーカーのCMを担当した時のこと。

 

クライアントの担当者(広報部長)から最終OKが出て、あとはプリントをテレビ局に納品するばかり、という段階になって、突然クライアントから

 

「社長がNGと言ってます!」

 

という連絡がきて全てがひっくり返り、完全に1から撮り直しになった、という経験をしたことがあります(その企業的には数千万円がパーになった計算になります)。

 

その時、

 

だったら最初から社長が出てこいや!

 

と強く思いました。

 

そして、現場の担当者って一体何のためにいるんだろう、、、と人ごとながら、ものすごく悲しい気持ちになりました。

 

日本の企業は特にこういうケースが多いように思います。

 

打ち合わせに出てきている担当者の一存では決められないので、一旦持ち帰って上司に相談、、、。

 

そうなると、時間がかかる上に、伝言ゲーム状態になって、ことの真意が伝わらなくなってしまい、間に担当者がいる分だけ話しがややこしくなってしまいます。

 

現場の人間にまかせられないなら、決裁権を持つ人間が最初から出てくるべきだし、それができないのなら、現場の人間を信じて決裁権を持たせるべき。

 

どうしてそんなシンプルなことが、日本では簡単に行かないのか、ちょっと不思議でなりません。

 


バッグブランド「Saori Mochizuki」
デザイナー
中目黒の雑貨屋「Accent Color」オーナー
望月沙織

 

Instagramも更新中
https://www.instagram.com/saorimochizuki/

 


 

中目黒の雑貨店(Accent Color)は完全予約制の営業を終了して、2016年8月より毎週金&土の11−17時で通常営業しております。ご予約のないお客さまもご来店いただけますのでお気軽にブラリと遊びにいらしていただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。 

Saori Mochizukiの水玉バッグ

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