「アーティスト」販売員/「てんてんしましまを探して」第11回・福岡/会員制サロン「LOUVE(ルーヴ)」オーナー・藤川修子さん

「てんてんしましまを探して」 / ショップさん

「てんてんしましまを探して」は、毎週木曜正午更新
てんてん(水玉)しましま(ボーダー&ストライプ)のかわいいアイテム、そこに携わる人々の思いをバッグブランドSaori Mochizukiのデザイナー・望月沙織がつづります。企画詳細についてはこちらをご覧ください。

こんにちは、水玉とストライプ&ボーダーのバッグデザイナー・望月沙織です。

さて「てんてんしましまを探して」第11回目の本日ご紹介するのは、福岡で隠れ家的ブティックサロンを経営されているLOUVE(ルーヴ)の代表・藤川修子さんです。

「すみませーん!バッグ、売れちゃったんです!」

藤川さんから初めて頂いたお電話がこれでした。

?????

売れちゃったって、どういうこと???藤川さんて、だれ?????

出会いは衝撃的でした。

福岡・LOUVE

オーナー・藤川修子さん

そもそも藤川さんとのご縁をつないでくださったのは、長崎・平戸と福岡を拠点に活動をされているアクセサリーブランド「TOIRO-FIRANDO」の代表・小値賀さんでした。

TOIROさんは今、うちの商品を福岡の催事で販売してくださっています。その関係で結構沢山うちの商品を預かってくださっているのですが、「とってもすごい人がいて、その人に是非サオリさんのバッグを紹介したいと思っているんですけど、いいですか??」と、ご連絡を頂いたのが藤川さんのことでした。

その後、藤川さんが「これは!」と思ううちのバッグを、TOIROさんで保管中の在庫の中からいくつかピックアップし→LOUVEに持ち帰り→品出しをしているうちに→売れてしまった!

・・・詳しい事情はよくわからないのですが、とにかくそんな感じだったと思います。

その間、ほんの数日。あまりの展開の速さに全く事情が飲み込めず、最初はぽかんとあっけにとられておりました。

そして後から冷静になって、「いやでも、なんであんなにあっという間に売ることができるの〜〜〜?」と、その凄まじい販売力に興味津々になったのです。

という訳で福岡に渡ったモチヅキ、単刀直入にその点について藤川さんに聞いてみちゃいました。他にも色んなお話を伺いましたが、今日はもう一点突破!皆さんも一番悩んでいるであろう「売る」ということ特化して、カリスマ販売員なんて言葉では語りきれない、アーティステックな藤川流アプローチ法や思いをご紹介したいと思います。

福岡・LOUVE

LOUVEの店内にはTOIRO-FIRANDOのアクセサリーも沢山並んでいます。

—まず、なんでそんなに売れるんでしょう??わたくし、あっという間に売れてしまったことに、本当にびっくりしたのですよ。何が他と自分の違いだと思いますか??

<藤川さん(以下<藤>)>
お客様に対して、いきなり商品の話はしないんですよ。少し様子を伺います。でも、相手をベタ褒めすることもないんです。ちょっと持ち上げて落としたり、「もうちょっとこうしたら??」と嫌なことも言います。

そうやって土足で入っていくと(笑)、相手は初めて会った気がしなくなるんですね。

(私が生まれ育った)田舎はみんなフレンドリーで、知らない相手でも平気で話しかけます。こういうやりかたは、そんなところから来ているのかもしれません。

ちなみにご出身はどちらなんですか?

<藤>
宮崎です。最初は宮崎で教員をしていました。幼稚園で2年、小学校で半年教えていました。先生をやっていた人って、意外とこの仕事で成功しているんですよ。ごまかしがきかない鋭い子供を相手にしていて、気配り・目配りができるので。

なるほど。ちなみにそこから、1回はチャレンジしてみようと思って、今の業界に転職されたそうです。

そして一番最初に働いていたお店をやめて他店に移った時、やめたお店の会社に「藤川さんはどこに行ってしまったのーー???」と、お客様から電話が殺到したそうです。それに困り果てた会社から、「(本来はそういうことは許可しないんだけど、量が量で、業務に支障をきたすので)自分の移籍先について、案内のハガキを出せ」と言われたそうです。

その後、そういった販売での実績をもとに、様々な会社の販売コンサルタント事業も始めます。

しかしコンサルをする先々のお店に、お客さんが藤川さんと一緒に移動したそう!

そうやって自分についてきてくれるお客さんをたらい回しにしていていいのだろうか、ということで、3年前にご自身のサロン「LOUVE(ルーヴ)」を開くこととなります。

福岡・LOUVE

つまりお客さんは、藤川さんから商品が買いたいんです。あの人でもこの人でもなく、藤川さんから。

これはもう販売員だれもが目指すところで、よく接客のマニュアル本などにも書かれていることなんですが、だからといって、なかなか簡単には行きません。どうして藤川さんはそんなにお客さんに慕われ、信頼してもらえるのでしょうか。

<藤>
私はまず、お客さんを頭の中で裸にするんですよ。この人に何を着せようかな、この人は胸が大きいぞ、とか、髪型も服も、全部頭の中で変えるんです。一瞬の間にストーリーを作っています。50人いたら、50人分できますよ。

道を歩いていても、向こうから来る人を、次々に着せ替えています。あー、あの人は意外とお腹に肉がついているな、とか、男目線で色々想像しています(笑)。

そんな話、初めて聞きました!でも要は、その人の本質的な体系の部分までさかのぼって、一体この人は何が似合うのか、っていうことを会った瞬間に考えているってことなんですね。

<藤>
頭の中にフィルムが入っていて、映像が出てくるんです。お客さんが1回目に買った商品は全部覚えていますよ。久しぶりに会って、名前と顔を忘れてしまっていても(笑)話しているうちに、「あ、この人が最初に買ったのはアレだ!」と必ず思い出します。

そこから、そのお客さんが何を持っていないのか、持っていないアイテムをおすすめします。

地図は、空中から見た図が一番分かりやすい、という藤川さん。

それと一緒で、お客さんのことを俯瞰から眺めてあげて、足りてないものを差し出してあげれば、必然的に売上につながるでしょ、ということなんですが、そうするためには、まず自分が今までどんなアイテムをそのお客様に進めてきたのか、きちんと覚えていなければなりません。ただ、「売れ筋だから」「会社で売れって言われたから」というものを何にも考えずにすすめているだけだと、覚えていたくても決して記憶には残らないでしょう。

つまり逆にいうと藤川さんは、その都度きちんと自分の頭で考えたものを、それぞれのお客さまにあわせてすすめているからこそ、鮮明に記憶に残っているということでもあると思います。

<藤>
「これ、いま流行ってるんです〜」って言われても、だからどーした?って思うでしょ。それがそのお客さんに似合うとも限らないし。

私は、流行はお店が創り出すものだと思ってます。

お客さんに、「いま何が流行ってるの?」って聞かれると、私は「世間は知らないよ。でもうちはこれ!」って応えてます。世間で茶色が流行している時に、「うちは黒!」と、黒をおすすめしていたら、お客さんは「良かった!(みんなとかぶらない)黒を買って!」って喜んでくれますから。

でも、逆に流行っているものが欲しい、皆と一緒がいい、って言う人もいると思うんですが、そういう時はどうするんですか??

<藤>
そういう時は、「茶色にしときな〜」って言いますよ。無理強いはしません。

大切なのは、表現力です。(お客さんのことを)全否定もしないけど、全部のみこむ訳でもない。お客さんからびっくりさせられるようなことを言われたら、更にその上を行く何かで、逆にもっとびっくりさせられないとダメだと思います。

褒めるだけだと誰にでもできます。でもコンプレックスもつかんで、逆にそこがかわいいじゃん!と言ってあげることも大切です。

さっき、私は男目線で女性を見てるって言ったけど、福岡は女性があまってるんですよ。そして本当に気が利かない男が多い!(笑)だから女性が上に立って(男勝りに)やってるけど、やっぱり女性らしさは失ってほしくないと思うんです。トイレットペーパーを丸めて手を拭くんじゃなくて、ハンカチで拭きましょうよ、とか、そういう部分のお手伝いができたら良いなと思ってます。

福岡・LOUVE

その場を丸くおさめるためにチヤホヤすることは簡単だし、コンプレックスを指摘するだけでは単なるイジメだ。でも藤川さんは、愛情ある目線を注いでグッと相手に踏み込み、どうしたらコンプレックスを含めてその人が魅力的に輝けるか、瞬時に考えているのです。

そんなことされて、惚れない人がいるでしょうか。

<藤>
太ったけど、サイズ感を変えずに着られるお洋服を提案してあげることが大切なんです。

そしてそういうブランドを見つけてくるのが藤川さんの仕事、ということなんでしょう。

・・・ちなみに恐ろしいけど、思い切って聞いてみます。

福岡・LOUVE

うちのバッグは一通り売っていただき、現在はこのSpin Offが1点のみ、店頭にありました。ありがとうございます。

うちのバッグはどうしてお取り扱いいただけたのでしょうか?

<藤>
たまたまね、バッグが全く手元になかったんですよ(笑)。で、TOIROさんから望月さんのことを紹介された時に、持ってきてもらったのがそもそもです。

そこからは、TOIROさんから聞いた望月さんのイメージと、カタログにのっている望月さんの写真を見て、「これはスライサーっていうのを貼っていてですね」「バッグの重量はほうれん草1束と同じ位の軽さなんですよ」と、あたかもブランドのことをものすごく知っているかのように説明していました。

要は、作っている人への想像力ですよね。だから、作り手は「思い」がある人の方が絶対にいい。デザイナーの方が商品に対しては詳しいんだから、自信を持って売った方が良いですよ!

・・・と、最後はもうわたくしへの応援の言葉だと勝手に解釈しましたが(笑)、とにかくお客さまとブランド、あらゆる方向への思いの巡らし方がハンパないんです。そこまでやられて、ついていかない人の方がおかしい。

<藤>
次のステップは、去年くらいからずっと考えていて、ここを居心地の良い場所にしたいと思っています。うちに来るお客様は、30代、40代、50代と、体のバランスが崩れてくる年齢にさしかかるので、衣食住、トータルビューティーを提供できる場にしたいと思っています。お化粧品や、下着のプロに来てもらったり、私自身は今(サービスとして提供するために)ピラティスの資格を取ろうとしています。

いいな。近かったら、わたくしも通いたい。

人は人、自分は自分。もっと自信を持ちなさい、って色んな人に言われますが、こんなに説得力を持って、心に響いたのは久しぶりでした。それはきっと藤川さんがそういう生き方を貫いてきているからだと思います。

そんな藤川さんに会ってみたい!お洋服を見立ててほしい!と興味を持った方は、どうぞ下記にリンクをはっておりますLOUVEさんの連絡先(メールアドレス)まで、お問合せ下さいませ。

「東京だからちょっと遠いな…」なんて思ってるそこのあなた!似合う服が見つからず、いつまでも中途半端なものに無駄遣いしているくらいだったら、ぱっと福岡まで行って藤川さんに「丸はだか」にされた方が、ずっと良いいかもしれませんよ!

バッグデザイナー・望月沙織/Saori Mochizuki

(一部敬称略でご紹介させていただいている場合がございます。ご了承ください)
(掲載されている商品詳細は、直接お店にお問合せ下さい)

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